『Lily 日々のカケラ』(文藝春秋)
「かわいすぎるアラフィフ」「奇跡のアラフィフ」として、CMにドラマに大ブレイク中の石田ゆり子。そんな石田ゆり子のフォト&エッセイ集『Lily 日々のカケラ』(文藝春秋)が先日、発売された。
石田ゆり子といえば、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)では主人公役のガッキーこと新垣結衣の叔母で、男性経験のない独身キャリアウーマンを演じ、女性たちの共感を集めたことから、大ブレイク。母親ともステレオタイプ的なバリバリのキャリアウーマンともちがう大人の女性像を提示した石田だが、実生活でも独身で、その生き方やライフスタイルも支持されている。
同書を読むと、石田がいかに豊かな日常生活を送っているかがよくわかるが、そのなかで興味深いのは、女性に「結婚」や「出産」を強制する社会に対しての批判をきっぱりと語っていることだ。
〈「結婚して初めて一人前」という考え方は古いと思う。ちまたで、ある年齢以上の独身女性に対して「結婚できない」という言葉を使うのを耳にするととても嫌な気持ちになります。結婚できないんじゃなくて「しない」。そういう選択もあたりまえにあるのにね。
たしかに、未婚の女性が一人で生きるのは大変なこともたくさんあります。社会制度的にも夫婦で子どもがいることが基準になっているし、でも未婚で生きていくという人生も、もっとちゃんと認められていく、成熟した世の中にならないといけないのではないかと本当に思います。〉
石田の指摘する通り、日本では「結婚して当然」「女性は子どもを生んで当然」という考え方は以前根強い。男性の多くが育児にほとんど協力できず仕事だけしていたとしても「子どもも育てない」と責められることはほとんどないが、女性はどんなに一生懸命仕事をしていても子どもを産んで育てていないと「半人前」「わがまま」「社会に貢献していない」と責められる。社会制度面においても、結婚を選択すると、法律や税制、年金などで保護され優遇される仕組みになっている。