理事選挙を前に夕刊フジと日刊ゲンダイが貴乃花VS八角の代理戦争
ようするに、メディアの側も、貴乃花親方派と八角理事長・相撲協会派にわかれて、代理戦争を繰り広げているのだ。しかも、この代理戦争はさらに露骨になっている。
もともと、今回の暴力事件がここまでこじれた背景には、来年2月の理事長選挙、理事選挙をめぐる貴乃花親方と八角理事長の綱引きがあった。暴行事件を八角理事長おろしに利用したい貴乃花親方と、逆にその対応の責任を追及することで貴乃花親方を潰したい八角理事長。さらに、18日に錣山親方、湊親方、立田川親方の3人が、本来、八角理事長派である時津風一門からの離脱を表明すると、マスコミが両派の意向を反映した票読みまで始めたのだ。
その典型が昨日25日発売の「夕刊フジ」と「日刊ゲンダイ」だろう。まず、
夕刊フジは「貴 勢力倍増」という見出しで、貴乃花部屋が時津風一門からの離脱を表明した錣山親方、湊親方、立田川親方の3人以外にも理事長派だった親方が 次々と反旗を翻して合流し、17人まで膨れ上がるとぶち上げた。
一方の日刊ゲンダイはというと、夕刊フジとは真逆。「貴軍団内部分裂 勢力拡大のウソ」「貴乃花親方 勢力激減 自業自得」とのタイトルで、時津風一門を離脱した3親方も貴乃花を支持しないうえ、次々と人が離れていると報じた。
〈3人は来年の理事選で貴乃花一門を支持しないと聞いた〉〈この3親方に加え、前回の理事選で貴乃花一派を支持した時津風親方(44=元前頭時津海)以下の3親方もすでに離反、時津風一門からは計6人が貴乃花親方から離れることになります〉(日刊ゲンダイより)
勢力は倍増どころか、減少の一途で、貴乃花は理事選で本人ひとりぼっちになる可能性さえ指摘されている。
ここまで真逆だと、いったいどっちが正しいのか、わけがわからなくなるが、実はどちらもかなり、我田引水的な解釈、情報操作が混じっているようだ。
まず夕刊フジだが、17人に膨れ上がるという根拠としてあげたのが例の“女装カレンダー“。この女装カレンダーは昨年12月の貴乃花部屋の忘年会で参加者に配られた貴乃花ら11人の親方の女装姿カレンダーが流出し物議を呼んだものだが、夕刊フジは「図らずも結束の固さが白日の下にさらされた(?)11人」と紹介。このカレンダーに、貴乃花一門と先の時津風一門を出た3親方以外に、時津風親方、玉ノ井親方、山響親方、甲山親方が登場していたと報じたのだ。
もっとも、この“女装カレンダー“はまだ、ここまで対立が激化していない昨年のもので、貴乃花親方との距離感は例の騒動以降、大きく変わっている。実際に今年は、このカレンダーに出たのに、貴乃花部屋の忘年会に参加しなかった親方がかなりいたという。