左・夕刊フジ 右・日刊ゲンダイ(12月26日付)
いまだに連日、ワイドショーをにぎわしている日馬富士の暴行事件をめぐる貴乃花親方と八角理事長率いる日本相撲協会の対立劇。もっとも報道の論調は途中から一変してしまった。当初は、相撲協会のリークに乗っかった貴乃花親方バッシングが主流だったのが、いまでは、多くのテレビ、スポーツ紙、週刊誌が白鵬らモンゴル力士バッシング、相撲協会批判に傾き、貴乃花親方擁護の論陣をはるようになってしまったのだ。
コメンテーターも同様で、相撲協会よりの相撲記者、相撲レポーター以外の出演者はいずれも貴乃花擁護のコメントを連発。たとえば、空気を読むことに長けていると評判の『ひるおび!』コメンテーター・八代英輝弁護士などは事件当初、あれだけ「貴乃花親方の対応に疑問を感じる」と声をあげていたのに、いまでは「貴乃花親方を処分しようとする日本相撲協会はおかしい」と相撲協会批判にまで踏み込むなど、態度を豹変させた。
ただ、同じ貴乃花擁護派でもその本気度にはかなり温度差があるようだ。
「ほとんどのメディアは、世間の空気が貴乃花親方に同情的なので、そっちに乗っかってるだけ。“貴乃花親方にくっついて白鵬を叩いたほうが視聴率が取れるし、新聞も売れるから”というようなレベルです。そんななかで、ゴリゴリの貴乃花親方派なのは、今回の暴行をスクープしたスポーツニッポンと、貴乃花親方から直接、情報をリークされていて、近く親方の手記が掲載されるのではないかといわれている『週刊文春』(文藝春秋)。あと、フジ産経グループもあの極右排外主義に通じるものがあるのか、貴乃花親方を一貫して擁護していますね。特に『夕刊フジ』は露骨で、貴乃花親方にかこつけて思う存分モンゴルヘイトを全面展開してます」(スポーツ紙記者)
もっとも、いまでも、貴乃花親方に批判的なメディアも数少ないながら存在する。まず、新聞では、読売新聞とスポーツ報知がドン・渡邉恒雄代表と日本相撲協会の関係から現在も相撲協会主流派の八角理事長に食い込んでおり、貴乃花に批判的だ。テレビでは、大相撲ダイジェストをずっと放送していた関係で、他局より相撲協会と関係が深いテレビ朝日がやや相撲協会よりといえるだろう。
また、前回の理事長選挙の時から、貴乃花親方と協会私物化疑惑のある経営コンサルタントや新興宗教とが親密関係にあることに注目し、疑問を呈していた「週刊朝日」(朝日新聞出版)、「日刊ゲンダイ」が今回も貴乃花批判の急先鋒となっている。