違法な長時間労働や残業代の未払いなどでノミネートのヤマト運輸(公式HPより)
今月27日、第6回ブラック企業大賞のノミネート企業が発表された。ゼリア新薬工業、いなげや、パナソニック、新潟市民病院、NHK、引越社関東・引越社関西(アリさんマークの引越社)、大成建設・三信建設工業、大和ハウス、ヤマト運輸の9社がノミネート。
新人社員に対して強い心理的負荷をかける研修を行い自殺に追い込んだゼリア新薬(中央労働基準監督署が労災と認定)、新国立競技場建設現場の新人男性社員が190時間におよぶ残業を強いられ自殺した三信建設工業、2013年の都議選と参院選の取材に追われて209時間もの長時間残業の結果過労死する記者を出したNHK、違法な長時間残業をさせていたとして幹部社員などが労働基準法違反の容疑で書類送検されているパナソニックなど、労働者の人権と尊厳、生命を踏みにじってきた企業が選出されている。
こういったブラック企業群のなかでも、ひときわ目立つのが、アリさんマークの引越社とヤマト運輸だろう。
違法な長時間労働や残業代の未払いなど、ヤマト運輸のブラック労働問題は今年、各所で大きく報じられた。
そういった流れのなか、ヤマト運輸はドライバーに負担を強いる配送サービスの廃止を続々と発表。昼食休憩の時間にあたる12時〜14時の時間指定を廃止し、また、夜間の再配達を受け付ける時間を1時間前倒し。20時〜21時の時間指定を失くして、19時〜21時の指定に改めることになっている。さらに、再配達に伴う負担軽減を目指したシステムづくりや荷物量の抑制を目指し、10月からは27年ぶりとなる宅配料金の全面的な値上げも断行した。
このあたりの口当たりのいい情報はテレビなど大手メディアでも報じられているのでご存知だと思うが、その一方で、現場ドライバーたちがいったいどれだけ過酷な状況での労働を強いられていたかということは詳細に報じられてはいない。もちろん、ヤマト運輸はテレビCMを多く打つ大口のスポンサー企業だからだ。
横田増生『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』(小学館)には、想像以上に過酷な宅配業者の現実が詳らかにされているが、その一例としてあげられているのが、ヤマト運輸の下請け業者のケースだ。横田氏は、ヤマト運輸の宅急便を各家庭に配達する菊池次郎(仮名)という下請け業者の助手として、その1日に密着している。