義家前副大臣に献金していた学校法人が同時期に文科省から巨額補助金
さらに、もうひとつ注目したいのは、この学校法人幾徳学園が文科省より補助金を受けていた、という事実だ。
文科省が公表している資料によると、2015年に学校法人幾徳学園は神奈川工科大学の「インキュベータ蛍光顕微鏡」が戦略研究設備として文科省より補助金交付(交付額は2649万6000円)が決定(同年10月9日)。「先進健康科学研究所」にも988万7000円の公布が決定されている(同年12月16日)。また、同じように平成28(2016)年度にも「分子間相互作用評価システム」が戦略特別設備として2570万円、「分子間相互作用解析装置」が2475万円の補助金交付が決定している。
補助金の交付決定に義家前副大臣との関係が影響を与えてはいないか。そう勘繰られても仕方がないだろう。だが、じつに小狡いことに、義家前文科副大臣は規制を巧妙にすり抜けているのだ。
まず、政治資金規正法は第22条の3第1項で、国から補助金を受けた会社や団体は補助金の交付決定の通知を受けた日から1年以内の政治献金を禁じている。ただし、パーティ券の購入は寄付とは区別されるため、政治資金規正法違反を免れることができる。さらに、「試験研究・調査に係る補助金等」の場合は規制法適用外で、この規定には範囲が曖昧だという批判の声もある。
総務省のガイドラインにも示されているように、国から補助金等を受けている会社や団体による寄付が禁じられているのは、国と特別な関係に立っている会社・団体が、その特別な関係を維持、あるいは強固にすることを目的とした不明朗な寄付を防止するためだ。その趣旨に則れば、補助金の交付を受けている学校法人からパーティ券を購入してもらうという義家前副大臣の行為は、教育行政ナンバー2の立場の重さをまったくわきまえない、教育行政への不信感を招くものだ。
そして、安倍自民党のこうした倫理なき政治姿勢の延長線上に出てきたのが、森友・加計問題だ。とくに加計疑惑では、安倍晋三首相を筆頭に有力閣僚や官邸の中枢をなす安倍首相の側近ら、文科省OBの豊田三郎氏や内閣官房参与の木曽功氏といった加計学園の息がかかった人物たちがかかわり、行政はゆがめられた。なかでも下村博文元文科相には、加計学園によるパーティ券購入という「200万円ヤミ献金疑惑」がもち上がっている。
しかし、義家前副大臣は冒頭でも記したように、11月14日の文科委員会に質問者として立ち、「あったものをなかったものにしているんじゃなくて、徹底した調査と情報公開を速やかにおこなってきた。これが現実」などと、現実とはまったく異なる主張を展開した。
だが、自身も利害関係先へのパーティ券販売という不審な行為をはたらいている義家前副大臣に、「ゆがめられた行政」の真相をあきらかにできるはずなどない。厚かましくも質問に立つ前に、まずは自分の襟を正すべきだと言っておこう。
(編集部)
最終更新:2017.12.02 11:56