候補者選別を仕切った産経出身の尾崎良樹氏がいまも事務総長として
維新に対する玉木代表の立場は不明瞭だったが、これも小池氏への忖度にしか見えない。「希望と維新が統一会派を組んで野党第一党になる」という機会を虎視眈々と伺っているのは間違いないだろう。
総選挙で候補者調整(選定)に関わったとされる「産経出身の尾崎良樹事務総長」も党本部に居座っていた。党本部で「小池代表の辞任がいつ決まったのか」と聞くと、女性事務員が「尾崎良樹事務総長しか分かりません」と言って名刺を見せてくれたのだ(名刺の写真参照)。
小池代表と同じように引責辞任をしても不思議ではない“A級戦犯”の尾崎氏が、党内を仕切ることが可能な事務局トップであり続けていたことは、まさに「小池院政」への移行を意味するものだろう。ちなみに尾崎氏は産経新聞時代、現在でも安倍政権擁護記事を多数書き続けている阿比留瑠比記者と一緒に、安倍昭恵氏にインタビューをしていた(2007年4月3日の「首相婦人へのインタビュー」)。
この尾崎氏が匿名で登場するのが「側近が事務方トップに 小池都知事“死んだふり”で虎視眈々」と題する11月10日付「日刊ゲンダイ」。小池知事に近い永田町関係者のコメントでこう紹介されていた。
「実は、希望の党の事務方トップに小池さんの側近が就いているのです。都知事の政務担当特別秘書・宮地美陽子氏の夫で元新聞記者」
この元新聞記者が尾崎事務総長なのだが、「小池百合子『死んだふり辞任』で『橋下新代表計画』が動き出す!?」と銘打った「週刊ポスト」(小学館)12月1日号にも、「国会議員時代からの小池氏側近」のコメント中に登場していた。
「(小池氏は)完全に国政政党から身を退いたわけではない。希望の事務局長は小池氏の特別秘書を務める女性の夫が就任するとみられ、希望の運営に間接的に影響力を残す仕組みができている」
2つの記事を合体させて具体的かつ正確に言えば、「総選挙の時から希望の事務総長は、小池氏の特別秘書・宮地美陽子氏の夫で産経新聞出身の尾崎氏が務めていて、小池氏は今後も党運営に小池氏側近を介して影響力を及ぼすことが可能」となる。見事な代表交代劇としか言いようがない。“雇われ社長”のような玉木代表に禅譲するのと引き換えのような形で親小池の新執行部がスタートし、党本部には側近の事務総長が居座り続ける。”死んだふり代表辞任”で「小池院政」に移行というのが実態なのだ。かつて自民党都連を牛耳っていたドンの内田茂都議と小池氏が二重写しになってくる。小池氏は“女帝創業者”として神輿に担がれた“雇われ社長”のような玉木代表を“遠隔操作”し続けるのは間違いないと思えるのだ。
(横田 一)
最終更新:2017.12.06 11:05