外務省HPより
トランプ大統領に先立って長女のイヴァンカ氏が来日。ワイドショーは大騒ぎを繰り広げているが、一方、安倍首相がそのイヴァンカ氏が主導した基金「女性起業家資金イニシアティブ」に、「57億円拠出」を表明したという報道が物議を醸している。
安倍首相の発言があったのは、3日、イヴァンカ氏と一緒に参加した日本政府主催の国際シンポジウム「国際女性会議WAW!」でのこと。発言をうけて、毎日や産経などの新聞各紙も「首相、イヴァンカ氏基金に57億円」と一斉に報道。ネットでは、「血税をアメリカ大統領のご機嫌とりに使うのか」「国民の社会保障は削ってトランプの娘に金を出すのか」「国内では女性や子どもを切り捨てておいて、女性の味方気取りをするな」といった非難の声が次々と上がった。
ところが、ほどなく、一部の識者やニュースサイトがこの女性起業家資金イニシアティブはイヴァンカ氏の個人的な基金ではなく、世界銀行が創設しているもので、報道は正確ではないと指摘。「57億円」と報じられた日本政府の拠出金についても外貨準備高5000万ドルがあてられ、国民の税金を使うわけではないというなどという反論がネット上に次々書き込まれた。
そして、現在は安倍応援団がこのカウンター情報に乗っかり、後出しジャンケンで「サヨクメディアのフェイクニュースだ」「安倍ガーの連中がデマをふりまいている」などとわめきたてる状況が起きている。
たしかに、この基金はイヴァンカ氏が発案者の一人ではあるが、7月のG20で世界各国が合意して決めたもので、イヴァンカ氏は資金や運営にもかかわっていない。日本の資金拠出もG20の直後に公表されている。
しかし、拠出の財源について調べてみると、外務省HPの「平成30年度新規要求事業」資料では、「女性起業家資金イニシアティブ拠出金」として14億円が要求されており、会計区分は「一般会計」となっている。つまり、政府予算からこの基金に巨額の金を出そうとしているのは事実であり、報道はフェイクではないのだ。
しかも、同基金がイヴァンカの基金で、今回、日本が来日に合わせて資金拠出を決めたという誤解が広がったのは、安倍首相がわざと誤解を招き寄せる発言をしたからだ。