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暴力団離脱者の就職率はわずか2%…ヤクザからの更正に最も必要なのは地域社会の受け入れと協力

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地域社会による協力の重要性を指摘している『組長の娘 ヤクザの家に生まれて』(新潮社)


 9月には任侠山口組の織田絆誠代表を狙った襲撃事件が発生し、ボディガードを務めていた組員が射殺されるなど、山口組をめぐる状況は依然として混迷を極めている。

 そんななか、現在、暴力団離脱者が後を絶たない。北海道警察がホームページで公にしている情報によると、全国の暴力団構成員の総数は、昨年末の時点で39100人。前年からは7800人減少で、ピークだった1963年の数と比較すると4分の1以下だという(他の調査ではすでに2万人を割っているとしているものもある)。

 その原因は山口組の分裂ばかりではない。ご存知の通り、暴力団排除条例(暴排条例)によるものが大きい。

 暴排条例は2010年に福岡県で施行されたのを皮切りに全国の各自治体に広まっていった。これにより活動を著しく制限されたため、多くの暴力団離脱者が生まれるわけだが、離脱後の生活基盤の構築は非常に難しい。

 その主な要因が、いわゆる「五年条項」というものだ。暴排条例では、暴力団離脱者は一定期間(おおむね5年間)暴力団関係者とされて、銀行口座の開設、自分の名義で家を借りることなどが不可能になる。

 ただでさえ再就職が難しい状況なのにも関わらず(後述する『ヤクザと介護』では、離脱者の就職率はわずか2%という警察庁発表のデータを紹介している)、こんな八方塞がりでは、せっかく暴力団を抜けて普通の生活を送ろうとしても、また元の世界に戻ってしまう。

 いや、元に戻ればまだマシで、「地下化」、「マフィア化」、「アウトロー化」していくことが懸念されている。

 地下に潜った元暴力団員は、違法薬物売買やオレオレ詐欺などをシノギとするが、そこには暴力団組織の「掟」などはなく、また、警察も状況を把握しにくいため、暴力団に所属していたときよりもむしろ危険な存在となる。

 そのような状況にある以上、社会全体で考えていかなくてはならないのは、暴力団を離脱した人をどのように一般社会になじませていくか、ということであるが、むしろ、現実の社会にあるのは「暴力団に入ったあなたが悪い」といった「自己責任論」である。

 その考え方は大間違いであると主張するのは、犯罪社会学を専門とする久留米大学非常勤講師の廣末登氏だ。末廣氏は『ヤクザと介護 暴力団離脱者たちの研究』(KADOKAWA)で、〈「暴力団辞めて仕事が無いのは自己責任じゃん」と言っていると、アウトローによる犯罪被害にあったとき「あなたが無関心だったからでしょ」と言われても仕方ありません〉と警鐘を鳴らす。

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