安倍応援団メディアもタイミングよすぎる広告で援護射撃
だが、さらに呆れるのは、安倍応援団メディア・団員の露骨な動きだ。
この選挙中には、メディア圧力団体「放送法遵守を求める視聴者の会」立ち上げメンバーであり、2012年秋の自民党総裁選直前に『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)という“安倍ヨイショ本”でデビューした自称文芸評論家である小川榮太郎氏が『徹底検証「森友・加計事件」――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(飛鳥新社)なる著書を「月刊Hanada双書」として出版した。
小川氏は、森友問題で当初は籠池夫妻を擁護し、昭恵夫人も籠池夫人に〈小川榮太郎さんがお電話されたようですが、繋がらず留守電にもならなかったと言われていたので携帯番号お教えします〉などとメールを送っていたことが発覚している。このように、昭恵夫人とベタベタの関係を築いている“関係者”が何を言おうと信用できるはずがないが、問題は、書籍広告として「“スクープ”はこうしてねつ造された」などのキャッチコピーとともに、新聞に大々的に掲載されたことだ。
それは、選挙中に発売された高橋洋一氏の新刊『ついにあなたの賃金上昇が始まる!』(悟空出版)も同じで、やはり小川氏の著書と同様に、「アベノミクス継続で日本経済は必ず大復活する!」「フェイク報道に騙されるな!」「森友は財務省のチョンボ、加計は三流官庁文科省の完敗」などという安倍首相を応援する文言が広告として紙上に躍った。これらは選挙中だけでなく、投票日にも掲載されたのだ。
選挙を目前に、もうひとつ、奇怪な動きが見られていた。じつは、「総選挙!〈安倍政権の反撃〉」「新聞は偏向している」などと書かれた極右雑誌「月刊Hanada」(飛鳥新社)のチラシがポスト投函されていたのだ。しかも、「月刊Hanada」が袂を分かった「月刊WiLL」(ワック)もまた、同じようにチラシを配布していた。
当リテラ編集部のスタッフ宅にもこのチラシは投函されていたのだが、ともに定期購読を募ったチラシを装いながら、そのじつ、安倍首相を擁護する一方で政権批判を批判する目次などの内容紹介が占めており、事実上、安倍政権の広報のような内容だ。そのため、ネット上では“「広告」を隠れ蓑にした安倍自民党の選挙応援チラシなのではないか”という見方も。さらに、“もしかして昵懇の両誌の版元に安倍自民党が依頼してチラシ配布させたのではないのか”という疑問も噴出していたほどだ。
チラシの目的にかんしては定かではないが、このように、お友だちメディアも一丸となって姑息な選挙戦を繰り広げてきた安倍自民党。今回の圧勝という結果によって、安倍首相が今後ますます批判的なメディアに対する圧力を強める他方で、こうした応援メディアをどんどん勢いづかせていくことは確実だろう。
(編集部)
最終更新:2017.10.23 09:41