「日本会議」「頑張れ日本!」とも関係、「モロラジー研究所」などを集会に動員
元幹部B しかも「救う会」の何人もの幹部が、日本会議や「美しい日本の憲法をつくる国民の会」のメンバーだったり、嫌韓・反中的な排外主義の考え方をもっています。のちに“米軍基地反対運動は中国の工作”という主張を繰り返す「沖縄対策本部」を結成したメンバーもいました。ほかにも宗教団体やモラロジー研究所、日本遺族会なども集会に動員されたり、頑張れ日本!全国行動委員会のメンバーも参加していたりします。
そして、武力を使ってでも被害者救出を、と言う者も多い。まったく現実的ではないのですが、それを指摘しても聞く耳はもちません。また、拉致問題を右翼運動につなげたい、憲法改正に利用できると、まるで“道具”のように公言する人もいました。過激でマッチョな考え方に陶酔しているのです。だから、北朝鮮からのミサイルに対して先制攻撃まで主張する。
本当に拉致問題を解決したいなら、制裁強化ではなく、話し合いや外交努力をおこなうべきで、それは現実的に可能だと思います。しかし、そういった声は「救う会」をはじめ右派陣営からは聞こえてきません。安倍首相や「救う会」によって拉致問題は道具にされ、被害者家族の子を思う親の気持ちもまた利用されている。拉致問題と「家族会」は聖域化し、安倍批判をすれば「北の分断工作」「スパイだ」と批判されタブー化されています。
しかも、安倍批判をすると「安倍首相のブレーンには在日がいる。その側近が悪いのであって、安倍首相は悪くない」なんて反論まで返ってきたことも。そんな狂った論理がまかり通っています。これでは一般国民の心は離れてしまう。
元幹部A 拉致問題は、第一義的には人権と命の問題です。しかし、安倍首相を見るとほとんど「詐欺」としか思えません。このまま安倍首相に拉致問題を任せていいのか。本当に怖いと思います。
今年4月の「国民集会」では、初めて演壇に大きく日の丸が掲げられ、会場中の人が一斉に拳を突き上げました。これはいままでになかったことで、その様子は拉致被害者救出運動の集会ではなく、まるで国粋主義の集会です。
私たちはかなり深いところまで拉致の運動に関わってきましたが、安倍政権発足以降、ますます偏りが顕著になったと感じています。なぜ、拉致救済の名のもとに、国粋主義、歴史修正主義などネトウヨのような言説がはびこるのか。私たちは純粋に拉致被害者の救済を願って活動をしてきました。だからこそ、怒りを感じずにいられません。
「救う会」は壮大な空想ばかり並び立てる、政府は現実的対策を講じようとしない。これまで活動の中枢にいて、政府も「救う会」も本気で拉致被害者を救出する気がないのではないのかとさえ思うようになったのです。こうした現状のもと、私たちは微力かもしれませんが、拉致被害者を救出する、それを現実的に考えながら行動していきたいと思っています。
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どうだろうか。この元幹部2人の証言からは、「救う会」の内実と、そこに巣食い、利用する安倍首相との相関関係が浮かび上がってくる。そして安倍首相は都合のいいタイミングで拉致問題を引っ張り出し、それをフル活用していると言えるだろう。奇しくも10 月15日で5人の拉致被害者が帰国して15年を迎えた。そのタイミングでの、「救う会」元幹部たちの悲壮な声。まずは拉致問題から安倍首相を切り離すこと。それが解決の第一歩なのかもしれない。
(編集部)
最終更新:2017.10.20 08:04