小林よしのりも「見城の安倍信仰は常軌を逸している」
そのような動きに出たのは町山氏だけではない。ラサール石井氏もこのようにツイートしている。
〈言っとくけど左翼発言〔自分でそう思ってないけど。ただまっとうな事を言ってるだけ〕すると仕事は減るんだよ。まあこう言うと「お前は面白くないから仕事減ったんだよ」とか言うんだよね。小学生でも言える悪口しか言わないもんね君たちは。それで若者かと思ったら50代60代だったりするんだよね。〉
水道橋博士、町山智浩氏、ラサール石井氏らが主張している通り、メディアの人間が権力と癒着し一体化することは、言論や情報の統制につながり、そしてその道は、確実にファシズムへとつながっている。
出版社のトップが権力者に対し露骨に擦り寄ることは、確実に健全な言論状況を破壊する。事実、幻冬舎はもうすでに健全な言論状況を破壊しつつある。
幻冬舎から数多くの著作を出版してきたマンガ家の小林よしのり氏も公式ブログで、見城氏の“安倍信仰”を強く批判。さらに、見城氏の安倍信仰が幻冬舎の出版物に及ぼす影響、たとえば現在執筆中で幻冬舎から出版予定の自身の新作に安倍首相の意に反する内容が含まれている場合、幻冬舎はまともに扱うのか、と以下のように危惧を綴っている。
〈気になるのは、幻冬舎の見城徹社長がアベマTVでものすごい安倍晋三のヨイショをしていることだ。
この人の安倍信仰は、色んな作家を抱えている出版社の社長としては、もはや常軌を逸している。
(中略)
直接的な安倍批判は描いてないが、思想的な真実を描けば、安倍晋三には不利になる内容も当然ある。
そもそもわしが安倍政権を評価していないことは見城氏も知っているだろう。
幻冬舎でこの本を出しても、ちゃんと売ってくれるのだろうか?
(中略)
担当・志儀氏との信頼関係で、全力を尽くして描いているのだが、社長の権力への共謀ぶりは、まったく不安になる。〉
マスコミが権力と癒着するということは、日本史の授業で太平洋戦争の時期に起きたことを学んだことのある人なら全員が「危険」と学んでいるはずなのだが、義務教育を修了しているはずなのにそのことを理解できていない人がこの国には一定数おり、挙げ句の果てには、そんな当たり前のことを指摘した著名人をいっせいに袋叩きにするような文化すら横行している。まさしく悲嘆するしかない状況だが、博士らがそうしたように、しつこくそのことを指摘し続けるほかないのだろう。
(編集部)
最終更新:2017.10.18 04:59