左・首相官邸HPより/右・小池百合子オフィシャルサイトより
10日の衆院選公示を前にして初となる党首討論が昨晩、ニコニコ生放送でおこなわれた。さっそくテレビのニュース番組では、討論終了後の写真撮影で記者から握手をリクエストされて手を差し出した小池百合子・希望の党代表に対し、安倍晋三・自民党総裁が一時拒否したことが伝えられている。
安倍政権に対して「政権選択選挙」「安倍政権退陣」を強調する小池代表──報道は“安倍vs.小池”という対立構図をつくり出すことに躍起になっているが、しかし、実際の討論はそうした構図とはまったく違う光景が繰り広げられた。安倍首相の意見に追随し「共闘」する小池代表の姿が浮き彫りになったのだ。
たとえば、メインテーマのひとつとなった「憲法改正」について。国民からの直接の批判を恐れて街宣日程さえ非公表という前代未聞の「トンズラ総理」となっている安倍首相は、その街宣でも一切、憲法改正には言及していない。だが、ネトウヨのサポートが得られるネット討論とあって、安倍首相は9条改憲について、意気揚々とこのように語った。
「朝日新聞の調査で、憲法学者のアンケート、自衛隊は合憲と言い切っている学者は2割にしかすぎない。7割以上は違憲の疑いがあると言っている。ですから、教科書にもその記述があり、自衛隊員の子どもたちはその教科書で学んでいるという現実があります」
「ほとんどの教科書にそういう論争が載っているのは事実です。一生懸命がんばっている自衛隊諸君の子どもたちもそこで学んでいる。『お父さん憲法違反なの?』と言われた自衛官、私は彼から直接話を聞きました。たいへん悲しい思いになった、こんなに一生懸命がんばっているのに。その状況を変えていく責任がある」
憲法学者の大半が違憲と言い、教科書にもその記載がある状況を打開するためには、9条に新たに3項を設けて「自衛隊の明記」をおこなうべきだ。──今年になって主張しはじめた「3項加憲」論をここでも振りかざした安倍首相だが、この説明ははっきり言って嘘だらけだ。