──政権批判を封じ込める動きだという見方については?
それはどうだかわからない。そうだとすると、物書きとして逆に名誉なことだとさえ思う。ただ、もしそれが事実であったとしても、政権側や自民党が菅野のアカウント凍結を指示や要請したというのではなく、Twitter社が勝手に判断して先回りした、つまりここでも権力への忖度が働いたのではないか。そして、そうした「先回りの服従」は、日本型ファシズムの典型だったりする。
──いずれにせよ、理由なき永久凍結というのは菅野さんへの言論封殺であり、引いてはTwitterという言論空間への信頼性にも関わる。これを問題視し、理由開示や凍結解除を求める声も多数上がっている。今後どのようにTwitter社に働きかけ、何を訴えていくか。
これはもう粛々と納得いく説明を求め、話し合いを持てるよう働きかけていくしかない。メールや電話だけでなく、場合によっては直接乗り込むかもしれない。それは展開次第でわからないけど。
僕の凍結解除を支援してくれる人たちが、change.orgというサイトで賛同を募ってくれている。その中にある、この文面を読んでみてほしい。
〈聞くところによると、Twitter Japanは日本のTwitterの日計tweet流量が世界最大規模であることを、広告媒体としての訴求材料として、広告主にアピールしているようです。Twitterも商業プラットフォームである以上、そうした営業努力は当然のことでしょう。しかし、「日本のTwitterの日計tweet流量が世界最大規模」となったのも、Twitterがユーザーに不要な「言論の萎縮」を生まないプラットフォームであったからではないでしょうか〉
Twitterは、誰もが自由に発言できるプラットフォームだからこそ、これほど多くの日本人に受け入れられた。その自由は守られないといけない。しかし、SNSがこれほど大きなメディアになった以上、流通する情報や言説について、フェイクか否か、合理的かどうか、ルールに沿っているか、検証や確認の責任は生じる。これを商業媒体が自分自身でやるのは無理。広告収入に頼る商売をしながら、同時に情報の真偽や的確性を判断することはできない。
放送業界におけるBPOのように、SNSの運営企業が共同で審査機関を設立したり、各社が独自に委員会を設けたりして、専門性を持った第三者に審査を任せるべきだと思う。メンバーは人権や差別問題に詳しい弁護士や研究者になるのかな。そこはまだよくわからないけど。今のままの運営では、「Twitter社が自社のルールに則ってそう判断した」というだけで、その判断が正しいのか、法律や社会的正義に照らして合理性はあるのか、誰にもわからない。ましてや、理由も開示されないような状況では。SNSも、そういうことを真剣に考える段階に来ているということだ。
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いかがだろうか。現時点ではTwitter社が明確な理由を開示していないため、推測するしかない部分も多いものの、菅野氏の分析は鋭く本質を突く部分がかなりあるように思える。菅野氏には引き続き、その取材力を活かして、この問題を徹底的に追及してもらいたいところだ。
また、Twitterアカウントを一時凍結されたリテラ編集部もこの問題を調査中だという。こちらにもぜひ期待しよう。
(松本 創)
最終更新:2017.09.20 08:27