敵基地攻撃能力で全て解決できると思っている連中の脳内お花畑
ちなみに、敵基地攻撃能力は法理上可能であったとしても、実際には「自衛権」の範囲とするために、発射直後(上昇中)のミサイル破壊を目指すことになるが、現実的には、これは高度な偵察や情報収集技術、あるいは妨害電波などを駆使して初めて可能な行動であり、また、すべてのミサイルをその瞬間に破壊することは不可能であることから、「敵基地攻撃能力は抑止力になる」との論は破綻しているということも付言しておきたい。
そのうえで、明確に違憲の先制攻撃を敵基地攻撃能力と言って正当化する青山センセイの話に戻すが、だいたい、現況で自衛隊が北朝鮮のミサイル発射基地を攻撃したら、それこそ報復攻撃(自衛攻撃)の“正当性”を与えるだけであり、別拠点からのミサイルによって甚大な被害を被る恐れがある。そんなことは小学生だってわかることだろう。それとも、青山センセイは、敵基地攻撃能力を保持することによって、一瞬かつ完全な武力の無効化が可能だとも思っているのだろうか。それは特撮ヒーローとかロボットアニメとかの話であり、もはや「脳みそがお花畑」としか言いようがない。
まったく、これで「安全保障の専門家」を名乗り、「運命のときを迎えるんですよ」(4日『虎ノ門ニュース』)などとドヤ顔で言っているのだから、かなり恥ずかしいが、さらに恐ろしいのは、むちゃくちゃな煽り方をして「敵基地攻撃能力を保持せよ」などといきり立っているのが、決して青山センセイだけではないことだ。実際、安倍首相はミサイル発射で「これまでにない深刻かつ重大な脅威」と表現して“北朝鮮危機”を最大限に煽っているし、現実に小野寺五典防衛相は敵基地攻撃能力の保有を検討する方針を明らかにしている。
そうしたことを考えても、「今日にも戦争が始まる」「北朝鮮は事実上の宣戦布告をした」「東京都心に核が落とされる」みたいな煽り文句は、単にこれまで数々の“伝説的語録”を残してきた青山センセイによる“フカシ”として笑い飛ばすのではなく、自民党や安倍政権がどれだけ“危機”を煽り、それを政治利用したいかのひとつのバロメーターとしてみるべきだろう。
わたしたちは、安倍政権や青山氏がやるような見え透いた扇動に騙されず、平和的解決のための対話を日本政府に要求し続けるべきだ。
(宮島みつや)
最終更新:2017.12.07 06:11