宮迫とベッキーの扱いの違いは、事務所、芸人仲間、男と女の差
いったいこの扱いの違いはなんなのか。本サイトで繰り返し指摘している通り、ひとつは所属事務所の力の差によるものだ。ワイドショーやスポーツ紙などの御用芸能マスコミは、同じ不倫でも、ベッキーや矢口のように弱小事務所に所属するタレントは犯罪者のごとく糾弾される一方、ジャニーズ事務所やバーニング系列のタレントであれば、不倫のような恋愛スキャンダルはもちろん、犯罪まがいの不祥事すら一切触れない。
宮迫の所属する吉本興業はジャニーズやバーニングほどではないが、松本人志はじめ、幹部級や超売れっ子タレントについては、批判やスキャンダルを封じ込めようと動くことでも知られている。また、各テレビ局は吉本の株主になっているらめ、決定的な醜聞については自主規制する傾向もある。
しかも、ワイドショーには、大量の所属芸人がコメンテーターとして送り込まれている。『スッキリ!!』(日本テレビ)には加藤浩次と近藤春菜(ハリセンボン)、『ビビット』(TBS)には千原ジュニアと中田敦彦(オリエンタルラジオ)、『バイキング』(フジテレビ)にはブラックマヨネーズと小籔千豊とフットボールアワーと横澤夏子と雨上がり決死隊、『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ)には高橋茂雄(サバンナ)と川島明(麒麟)と斎藤司(トレンディエンジェル)、そして、『ワイドナショー』には松本人志と東野幸治……。全国放送の主なワイドショーだけでもこれだけの芸人が出演している。関西やその他のローカル番組、インターネットやラジオなども含めれば、その数倍にものぼるだろう。
そのため、芸人に何かスキャンダルや不祥事が起きたとき、お仲間の芸人が、互いのスキャンダルをギャグにしてかばい合う構造ができあがってしまっているのだ。
今回の宮迫の件は、その最たるものだ。宮迫生釈明の2日前、不倫の一報が報じられた水曜日の時点から、『スッキリ!!』(日テレ)などスルーするワイドショーも多かったなか、『バイキング』では、まず冒頭から坂上が「ハッキリ言っておきましょう、クロです」と言って、コメンテーター陣も、オセロの松嶋も白って言ってあげたいけど、黒(笑)」、アンガールズ田中も「先輩だけど、黒(笑)」、おぎやはぎの矢作が「漆黒だな(笑)」と口々に黒と言いながら、みんなで爆笑。一見、「黒」と言って宮迫をディスってるふうを装いながら、完全に笑いにしていた。明らかに、2日後金曜日の宮迫出演に向け、宮迫が出てきやすい笑いの下地をつくっていた。
そして、金曜日の宮迫生釈明も、前述のとおり、いかにディスりつつ笑いにしてやるかに、MCの坂上はじめ出演者たちは注力していた。話術のないコメンテーターがただ擁護しても逆に炎上するだけだが、芸人たちはなまじ話術がたくみなだけに、ディスりつつ笑いにするという団体芸で、視聴者もだまされてしまう。