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スポンサー高須院長の恫喝に屈し全面謝罪した『ミヤネ屋』読売テレビは「表現の自由」を捨てるつもりなのか!

浅野の「大西議員の質問は名誉毀損じゃない」発言は間違っていない

 しかし、議員には憲法第51条に定められた「国会議員の免責特権」がある。それは「両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない」というもので、国会などでの自由な言論、討議を促すものだ。もし責任を問われるべき事由があった場合、それは次の選挙で選挙民によって裁かれるという考えである。

 さらに損害賠償についても、当時衆議院議員が国会で医師のセクハラや薬物使用を指摘、その翌日医師が自殺した事由について、平成9年9月9日、最高裁では以下のような判決が出されている。

「国会議員が国会で行った質疑等において、個別の国民の名誉や信用を低下させる発言があったとしても、これによって当然に国家賠償法一条一項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が生ずるものではなく、右責任が肯定されるためには、当該国会議員が、その職務とはかかわりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とする」

 国会議員が職務遂行のためにおこなったものであれば、セクハラや薬物使用を指摘した発言ですら名誉毀損に当たらないとされているのだ。国会の美容業界の広告問題を取り上げた質問のなかで出てきた、「高須」の名前すら出していない発言が名誉毀損になるはずがない。

 また、浅野氏は「国会でなく普通の平場で言ったとしても名誉毀損でない」という趣旨のことを言っていたが、これも間違ってはいない。

 仮に大西議員が議員ではなく、「国会議員の免責特権」がなかったとしても、この件で名誉毀損が成立する可能性はきわめて低い。なぜなら、大西議員の“陳腐”発言は、大西議員の感想であり、憲法が保障している意見、論評の表明の自由の範囲内だからだ。

 名誉毀損には大きく分けて「事実適示」と「意見・論評の表明」がある。今回の“陳腐”発言は後者の「意見・論評の表明」だが、これについても1989年12月、長崎での“教師批判ビラ事件”に関する最高裁判決でその枠組みが示されている。それを『名誉毀損─表現の自由をめぐる攻防』(山田隆司/岩波新書)では、こう整理し記されている。

〈①公共の利害に関する事項について、②その目的がもっぱら公益を図るもので、かつ、③その前提事実が主要な点において事実であることの証明があったときは、④人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱したものではない限り、批判・論評は名誉侵害の不法行為の違法性を欠く〉

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