シビリアンコントロールの崩壊を招いたのも安倍首相の責任
ようするに、陸自内にデータが残っていることが統合幕僚長に報告された翌日というタイミングで、防衛省の黒江事務次官と豊田官房長が安倍首相のもとに参じているのだ。そしてその後、防衛官僚を介して“非公表の方針”が決定されたことになる。
安倍首相は「陸自に残っていたということについて、事務次官と官房長から説明があったことはないとはっきり申し上げておきたい」と繰り返し否定したが、1月18日に黒江事務次官らが安倍首相に直接面会したのは、この陸自データ公表について相談をするためと考えるのが自然だろう。
それだけではない。陸自内の日報データの保管事実が報道によって明るみになったのは3月15日だが、首相動静を見ると、その前後にあたる3月3日と3月17日にやはり黒江次官が安倍首相と面会し、なんらかの話をしたのがわかる。
ようするに、安倍首相はこの日報隠蔽問題について、要所で黒江事務次官ら防衛省・自衛隊幹部から報告をうけて、対処方針を指示していたのではないか。さらに言えば、隠蔽疑惑が表面化した12月末より前、それこそ、布施氏による日報の開示請求がありながら無茶苦茶な屁理屈で駆け付け警護の新任務を自衛隊に付与した時期から、なんらかの形で安倍首相がこれに関与し、調整をはかっていたのではないか。そういう疑念が頭をもたげてくる。
安倍首相は再三再四「ありえない」と強弁したが、否定の弁をただ繰り返すだけでは、潔白の証明にならないのはいうまでもない。笠井議員は昨日の閉会中審査で、稲田防衛相、黒江事務次官、豊田官房長、岡部陸幕長らの証人喚問を要求したが、真相を解明するためにもこれは急務だろう。
何度でも繰り返すが、これは防衛大臣や防衛省の問題でなく、安倍首相も含む政権政権ぐるみの隠蔽疑惑だ。また、自衛隊に対するガバナンス、シビリアンコントロールの不全が露見しているが、これも安倍首相に大きな責任がある。
この間、安倍一強を背景にこの国の民主主義をどんどん破壊してきた安倍首相だが、支持率が凋落し、求心力を失ったいまも、大混乱を引き起こし、別の意味で日本の民主主義を危機状況に陥れようとしているのだ。とにかく、国民は一刻も早くこの政権に引導を渡す必要がある。
(編集部)
最終更新:2017.07.25 12:09