〈名誉ある地位は形式的なことで手に入るものではなく、具体的な労力、行動、犠牲を伴います。人を愛するとき、相手のすべてを「ゆるす」という犠牲が伴うのと同じです。それにより争いは避けられ、全体の安全が保たれることがあるのです。そのリーダーシップをとれる人がもっと日本に出てこなければなりません。武力で武力を制することはできません。別の手段を考えるべきなのです〉
〈憲法の目的は、国民のいのちを安全に保つことであって、憲法に定められた主役は「日本国民」です。押しつけどころか、私たちのいのちを武力以外で守る賢い仕組みです〉
この記事が、日野原氏の待望するリーダー像とは真逆の安倍晋三首相を意識しているのは明白だろう。
〈今この時期、どうしても皆さんに私の考えをお伝えしたくて、筆を執った次第です〉
こう結ばれているこの文章からは、日野原氏の切実な危機感が伝わってくるが、しかし、その思いは安倍政権にはもちろん、まったく届いていない。
菅義偉官房長官は、18日の会見で日野原氏の死についてコメントを発したが、例の“スガ語”と同じ感情などまったく感じないトーンで「100歳を超えてもなお生涯現役として、医学界の発展に尽くされた。心から敬意と感謝を表するとともに、ご冥福をお祈り申し上げる」と、通り一遍のおくやみコメントを出しただけだった。
日野原氏の遺志を継ぐためにも、安倍政権の改憲の動きはなんとしてでも止めなければならない。
(窪川 弓)
最終更新:2017.12.06 03:57