安倍首相も“韓国では売春が日常に溶け込んでいる”と暴言の過去
“慰安婦は売春婦”という篠塚総領事の認識は、その日韓合意での表明とも真っ向から矛盾する。即刻、なんらかの処分が下されるのが妥当だろう。
しかし、問題のインタビューの現地報道から1週間が経つにもかかわらず、日本政府が総領事の発言を否定・謝罪する声明を出すとか、あるいは篠塚総領事の処分を検討しているなどといった情報は、まったく聞こえてはこない。
他方、昨年12月に少女像が韓国・釜山日本総領事館前に設置されたことに対し、安倍政権は、森本康敬釜山総領事と長嶺安政駐韓大使を今年1月から約3カ月間帰国させるというヒステリックな報復を行い、日韓通貨スワップ協議の中断などの対抗措置を断行、韓国政府に露骨な圧力をかけた。
しかも、その対応に不満を漏らしたとされる森本氏を、事実上更迭するという、独裁国家としか思えない所業まで行なっている。
もちろん、こんなものは外交センスとしても壊滅的だが、今回の篠塚総領事の場合、日韓合意で外務大臣が政府として表明した認識をひっくり返すもの。これでお咎めなしでは、もはや日本政府は国際社会から、完全に常軌を逸した政府だと思われても文句は言えないだろう。
だが、考えてもみると、国際社会から見れば異様に映るはずの日本政府のノーリアクションも、安倍首相としては、ある意味当然のことなのかもしれない。
そもそも安倍自身、若手時代から歴史修正主義の旗振り役だった。事実、約20年前には自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」で事務局長をつとめ、1997年4月の第7回勉強会で、“韓国は売春国家だから慰安婦になるのに抵抗はなかった”という意味の差別発言まで得意げに放っていた。
「実態は韓国にはキーセン・ハウスがあって、そういうことをたくさんの人たちが日常どんどんやっているわけですね。ですから、それはとんでもない行為ではなくて、かなり生活の中に溶け込んでいるのではないかとすら私は思っているんです」(『歴史教科書への疑問 若手国会議員による歴史教科書問題の総括』展転社より、勉強会での安倍の発言)