『人生を危険にさらせ!』(幻冬舎)
今月17日に沖縄で行われたAKB48選抜総選挙。その壇上で行われた須藤凜々花(NMB48)の「結婚します」宣言は、週が明けたいまでも波紋を呼び続けている。
今回の選挙で彼女は昨年の44位から20位まで一気にランクアップしたわけだが、その席上での突然の結婚宣言に、ファンからは「あり得ない。これから頑張ってもらうために票を積んだファンが報われない」との恋愛禁止ルール違反を責める声や、「年に一度のお祭りをブチ壊しにし、渡辺麻友の卒業発表や指原莉乃の三連覇にも泥を塗る行為」と、グループ最大のイベントに冷や水をかけたことを非難する意見などが飛び交い大炎上。
また、怒りの声はファンのみならずOGにも飛び火。選挙終了直後に大島優子は、移動中の車のなかからインスタライブを配信。「この帽子(に書いてあること)がきっと私のすべての言葉だと思うの」と言いながら「FUCK」と書かれた帽子を見せつけた(彼女は後にツイッターを通してこの行為を謝罪している)。
処遇も含めた今後の詳細などについては、近日中に開かれる会見で明らかにされるとのことだが、19日付のデイリースポーツによれば〈事実上の「解雇」となることが濃厚〉であるという。
しかし、ファンの声も含めた須藤へのクレームはあまりに時代錯誤だし、もし「解雇」が事実なら、運営会社は徹底批判されるべきだ。
以前から当サイトで指摘しているが、恋愛禁止ルールを振りかざしてアイドルの自由を拘束するのは、明らかに人権侵害だ。弁護士の伊藤和子氏は「AERA」(朝日新聞出版)16年2月15日号で恋愛禁止ルールについて法的観点からこのように語っている。
「芸能事務所とアイドルの契約において、交際禁止規定という制約を課すのはおかしい。恋愛は、憲法13条で尊重される『幸福追求権』です。いかに契約であろうと、憲法で認められた個人の自由を制限する形の交際禁止規定は無効です」
実際、昨年1月、女性アイドルがファンとの交際禁止ルールを破り性的関係を結んだことで被害を被ったとして、所属事務所が約990万円の損害賠償を求めていた訴訟に対し、東京地裁は「異性との交際は幸福を追求する自由の一つで、アイドルの特殊性を考慮しても禁止は行き過ぎだ」という判決を下し、事務所の請求は棄却されている。