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風俗嬢になったら人生終わり!? 世間からの偏見で深刻化する風俗嬢のセカンドキャリア問題

マスコミは風俗業界が受けている「職業差別」問題をもっと報じるべき

 彼女たちがこういったスティグマをもってしまうことは、いざセカンドキャリアを探そうというとき、また、福祉との連携を図ろうとするときなどに大きな障害となる。

〈彼女たちは、娯楽よりお金より寂しさより、とにかく「バレないこと」を優先します。バレたくないから、連絡できる親類にも連絡しない。バレたくないから行政に頼らない。バレるくらいならしんどい方がマシ。そう思いつめた結果、人に助けを求めず、余計に孤立リスクを高めていく女性が大勢います〉

 彼女たちがそこまで恐れを抱く背景には、セックスワーカーに対する世間からの激しい偏見がある。風俗嬢とは少しずれAV女優でのケースになるが、AV出演者の人権を守るための団体「表現者ネットワーク(AVAN)」代表で、元AV女優・官能小説家・怪奇作家の肩書きをもつ川奈まり子氏は、セックスワーカーが受ける差別について自らの体験も交えつつこのように訴えていた。

「AV女優たちの一番の悩みはヘイトクライムです。住んでいるアパートを追い出されるとか、仕事をクビになるとか、職場でイジメに遭うとか。会社でAV女優だった過去がバレてレイプされそうになったという相談すら受けたことがあります。
 私もライターとして連載させてもらっている媒体から『川奈さんがAVに出ているなんて知りませんでした。今後の取引は中止させていただきます』と言われたり、編集部は大丈夫でもスポンサーからNGが入って仕事がなくなったりと職業差別を受けてきました」(昨年10月の本サイトインタビューより)

 そういった出自について比較的寛容なはずのマスコミ業界ですらこういった問題が起きるのだから、一般的な仕事ではどうなるかは想像に難くない。また、あからさまな偏見や差別でなくとも、周囲からの「好奇の視線」も、彼女たちにとっては大きな負担であり障害となるのは言うまでもない。

 現在、風俗産業で働く女性は30万人ほどいるといわれている。そのなかには、主婦や昼職OLとの兼業で働いている人もいるが、専業としている人も数多い。GAPではそういった人たちを対象に、資格取得や協力企業でのインターンなどを通して、セカンドキャリアへと踏み出していく支援をしている。

 ただ、「風俗業界へ入っていく不幸な女性」のストーリーが盛んにメディアで取り上げられる一方、そこから次のキャリアへ移行しようとする人たちの置かれている難しい環境はまだまだ取り上げられていないのが現状だ。

 マスコミは風俗業界に入っていく女性たちの抱える貧困問題などについて扱うだけでなく、こういった「職業差別」に関する本質的な問題について議論の機会を広げるような報道も行っていくべきだろう。

最終更新:2017.12.01 04:52

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