自由民主党HPより
やはり、この大臣は何の反省もしていなかった──。今月4日の会見で福島原発事故の自主避難者について記者に質問され、「自己責任」「裁判でも何でもやればいい」と発言し、挙げ句、記者に「うるさい!」「出て行きなさい!」と激昂、暴言を吐いた今村雅弘復興相だが、きょうの会見で、同じ記者からの質問に苛立ち、「もういいよ」と打ち切ったというのだ。
質問をした記者は、本サイトの取材にも応じてくれたジャーナリストの西中誠一郎氏だが、毎日新聞によれば、西中氏は「自主避難者への住宅支援が打ち切られ、行き場のない人もいる。国が調査しないと、実態が分からないのでは」と質問し、今村復興相は「いろんな方がいらっしゃる。よく聞いてから対応したい」と回答。これでは前回の会見と同じで自主避難者への対策を国が見ないふりをしているようなものだが、西中氏が「把握できるのか」と再び問いかけようとすると、今村復興相は〈いらだった様子で「もういいよ。他の人どうぞ」と質問を打ち切った〉というのだ。
今村復興相は4日の態度が問題となった後の6日に「自己責任という言葉づかいはよくなかった。深くおわびする」「(記者に対して)感情的になってしまった」と陳謝したが、舌の根が乾かぬうちにとはまさにこのことだ。
しかも重要なのは、今村復興相は「自己責任」発言の何が問題であったかをまったく考えてこなかったことだろう。発言後は自主避難者たちから怒りの声が上がり、6日には原発事故被害者などの4団体が共同で約3万人もの「辞任要求」のインターネット署名を復興庁に提出。村井嘉浩・宮城県知事も10日に「避難せざるを得ない原因は原発事故で、東電や政府の責任は免れない。避難者に失礼」「言葉一つで被災者を傷つけることを忘れないでほしい」と苦言を呈していた。
しかし、今村復興相はそうした声には耳を傾けず、11日の衆院震災復興特別委員会では「(帰還するかしないか)自分で判断をすることは当然、責任が伴う」と言い放ち、相も変わらず“自主避難者は自己責任”と強調したのだ。
そしてきょう自主避難者について質問されてキレただけでなく、今村復興相がとった、質問をシャットアウトするという態度──。これは今村復興相がいまも自主避難者に対して「自己責任」「裁判でも何でもやればいい」と考えている証拠にほかならない。
何度でも繰り返すが、自主避難者は原発事故の被害者であり、自主避難者には何の落ち度もない。そして、人びとが避難せざるを得ない状況をつくり出したのは、原発を国策として推進させてきた政府にある。しかし、安倍政権はそうした事故への責任を放棄して「自己責任だ」と片づけ、支援さえも打ち切ったのだ。冷酷無残と表現するしかないだろう。