つまり、政府や電力会社の意向を“忖度”した裁判官たちには天下りというご褒美が与えられる一方、逆に、政府や電力会社にとって不都合な判決を出せば、左遷されてしまうということだ。そのため多くのエリート裁判官たちは、自分が得られる地位や経済的な恩恵のため、そして最高裁人事という“圧力”のもと、曖昧な根拠しか示すことなく再稼働を安易に容認し、国民の命や安全を蔑ろにする。これでは、司法の独立どころか、裁判官や検事までが原発企業の利益共同体、原発ムラの一員と批判されて然るべきだ。
そう考えると今回の高浜原発再稼働を認めた大阪高裁の山下裁判長の決定は、
ある意味当然の結果と言えるのだろう。こうして大阪高裁のお墨付きを得た高浜原発3、4号機は、再稼働に向け現在も着々とその準備を進めている。
未だ大量の放射性物質を放出し続ける福島第一原発、にもかかわらず進められる避難指示解除と、住民の強制的ともいえる帰還、そして無視され続ける子どもたちの甲状腺がんの実態──。このままでは、第二の福島原発事故が近い将来起こっても決して不思議ではない。
(伊勢崎馨)
最終更新:2017.11.24 06:03