一方、繰り返すが、肝心の疑惑の数々については「われわれにも不手際はあるでしょう、人間ですから! いろいろわからないこともあります! サステナブルのこともありました。これは国土交通省の補助金ですけど」などと、開き直るだけだった。
いずれにせよ、“トンデモヘイト動画”という他ない籠池氏の唐突なYouTube登場。このまま“ヘイトユーチューバー”になってしまわないか心配でたまらないが、他方で、注目すべき発言もあった。
それは、いま、森友学園や籠池氏と「関係ない」「会っていない」と必死で否定している安倍首相や安倍内閣の閣僚、自民党議員に向けられたと思われるメッセージだった。籠池氏は動画のなかでまず、こう呼びかけていた。
「国会議員の先生が私を全然知らないと言っていましたけれど、えー、よく存じ上げている方もいらっしゃいますね。そして、10年前にしか会ってませんとおっしゃったけど、そんなことないですよねぇ。2年前ほどにお会いしたことが僕、あるんじゃないかなあ思います。ある特定の会合のなかで。でも、それ、そういうことも(国会で)言わないというのはおかしいんじゃないかと思いますね」
これは、国会で籠池氏との面識の有無を問われて「ここ10年お会いしておりません」「どういった機会で会ったか定かではない」と答弁した稲田朋美防衛相に対して向けられたものだろう。そう、籠池氏は稲田防衛相の嘘を暴いたのである。
さらに、籠池氏はカメラ目線で「籠池潰しはやめてほしい。尻尾切りはやめてほしいんです。日本国のためにがんばってる」と述べると、籠池氏は身振り手振りを交えてヒートアップ。こう叫んだ。
「それに対して、あいつは悪い奴や、とんでもない奴やとか、なんや、しつこい奴やとか、もうその、あのー電話をしてくるとか。電話番号なんか知りませんよそんなもん! FAXなんか知るわけがない!」
たしかに、あれだけ籠池氏と親しい関係を築き、塚本幼稚園を持ち上げていた安倍首相や、内閣の閣僚、自民党、維新の議員たちがここにきて、やたら籠池の悪口を口にするようになっている。
安倍首相も国会で籠池氏を「非常にしつこい」などと突き放していたし、稲田事務所は「週刊ポスト」(小学館)の取材に対して「(籠池氏は)とんでもないことをしつこく言ってくることなどがあり、無視をしていたら、稲田の私邸にFAXや電話を入れるようになったので、お付き合いは10年前に一切やめています」と回答していた。
かつては「安倍晋三記念小学校」と名付けようとするまで安倍首相を熱烈に支持していた籠池氏だが、こうした手のひら返しに我慢ならなかったのだろう。もっとも、今回のYouTubeではそれでも、具体的に政治家の名前は言わなかったし、疑惑への政治家の関与についても「口利きしてもらったことはない」と否定した。
ただ、籠池氏は「尻尾切りはやめてほしい」という意味深なセリフも口にしており、このYouTube映像は、安倍首相や稲田防衛相らへの「俺を切り捨てたら洗いざらいしゃべるぞ」という牽制の意味合いもあったのではないかと思えてくる。自民党が籠池氏の国会招致に頑なに反対しているのも、その「爆弾発言」が怖いからだろう。
しかし、国会招致を数の力で押しつぶしたとしても、この調子だと、籠池氏の口に戸を立てるのは難しそうだ。安倍首相を筆頭に“森友”癒着政治家たちは映像を見て、背筋が寒くなったのではないだろうか。
(編集部)
最終更新:2017.11.21 12:46