めまいすら覚えるが、籠池氏の暴言はまだまだ止まらない。塚本幼稚園を退園した元保護者について、またぞろ「為にするために入ってこられた方やと思います。なにか、撹乱を起こすために」などと陰謀論を開陳したかと思いきや、「たまたまその人たちが韓国人であったり、支那の人たちであったり、それに関係する人たちだったから、私はそのようにブログのように書き上げました」とHPに掲載した例のヘイト文書について完全に開き直りを見せた。
さらに、「日本人がヘイトはしない!」と大見得を切ったその直後、日本へ帰化した人たちに対するヘイトスピーチを展開。「お国へ帰っていかれたらいい」とがなりたてた。
「でも日本人になってるんでしょ? 日本人になってるんだったら、日本の風土、気風に沿って生きていってもらわないかんのです。それだったら、もともとの向こうのお国に帰っていかれたらいいんです。あたりまえのことやないですか!」
あげく、マスコミの報道に絡めて「なにか、日本の方々と違う方々のデモ行進は大きく(テレビに)映ってる」としたうえで、こう憤慨をあらわにした。
「なんなんですか!? この問題は民族闘争の問題なんですか!? ヘイトというんじゃなくて、民族闘争なんですか? ここは日本の国でありますから、1億3000万の大多数は日本人であります。少数の人たちに配慮してつくったのがヘイトなんですね。大きな声あげたらあかん、罵声あげたらあかん、人格貶めたらいかん、いうのでヘイトいうのができたんです」
そのままでは意味が通じないので補足的に推察すると、おそらく、籠池氏が「配慮してつくったのがヘイト」とか「ヘイトいうのができた」というときの「ヘイト」は、ヘイトスピーチの抑止を目的とする大阪市の条例のことを指していると思われる。だが、続けて籠池氏はドヤ顔でこんなトンデモをぶちまけた。
「でも考えてください。逆にその人たちから罵声を浴びられて、そしてここの幼稚園でも、えー、大韓民国民団というかたが、意見書をもってこられました。多数のかたでね。そういうことは果たして逆ヘイトではないんですか! 日本人多数のなかの、少数の人たちがそういうことをする。しかもそれを、ヘイトということで規制させる。しかも教育機関にたいして」
凄まじい逆ギレ。ネトウヨの論理そのものである。周知の通り、塚本幼稚園では「邪な考え方を持った在日韓国人や支那人」などと書いた差別文書を保護者に配布しており、籠池氏が大阪府から事情聴取されたほか、昨年12月の保護者向け冊子でも「(韓国の)心を引き継いだ人たちが日本人の顔をしてわが国に存在することが問題」などと記載。また運動会でも園児たちに「日本を悪者として扱っている中国、韓国が心あらため、歴史教科書で嘘を教えないようお願いいたします。安倍首相がんばれ!」と宣誓させていた。
こうした自らのヘイトスピーチへの反省はつゆほども見せず、逆に差別への抗議に対しては「逆ヘイト」などといきり立つ……。教育機関云々以前に、その論理構造及び感性を理解するのは極めて困難だ。しかも、それでいて籠池氏は動画の中で「表現の自由とか報道の自由とかは基本的人権よりも超越するんですか!?」などと何度か怒声をあげている。基本的人権をないがしろにする教育勅語を園児たちに暗唱させておきながら、一体どの口が……。もはや苦笑するほどの価値すらないだろう。