「「まだこの枠から出られないなあ」っていう感じですかねえ。「箱入り息子(の恋)」から同じですが。
何かねえ、私がそうしたいわけではないんだけど、「三十五歳童貞男、プロの独身」みたいなのをやってほしいというニーズが来るんですよね。何ですかねえ。やっぱり、“救世主としての役割”なんですかね、これねえ」
「私みたいに、「三十五歳、童貞、独身のプロ」っていう役でしか使えないような、ほかに使い道がないような感じで使われて、まあ、それを“一本彫り”でずーっとやっているうちに、だんだん、ある程度、評価も出てくると、「もしかすると、またほかの道も開けてくるかもしれないな」という感じですか」
確かに、星野源は童貞、もしくは童貞的なキャラ設定の役柄を演じることが多い。ここで守護霊が例にあげている映画『箱入り息子の恋』も、園子温監督の『地獄でなぜ悪い』もまさしくそんな役だった。だが、言うまでもなく、そういう役が「多い」だけで、「ほかに使い道がないような感じで使われて」ということではない。彼のフィルモグラフィを見れば一発でわかる通り、他にも色々な役を演じている。
そしてさらに驚きなのが、その流れで彼の守護霊が自らを中年童貞であると告白していることだ。
「なんか、童貞のまま死んじゃうんじゃないかと思って(笑)」
「何て言うか、「初めて女性を経験するときは、ガッキーさんのような、聖女のような方と、『向こうが主導権を握って、筆下ろしをしてみたい』という感じのシチュエーションでなければ、男を守り抜く」っていう、そういう意地がないわけではないですね」
どう読んでも、“魂の本質が童貞”とかそういう話ではなく、リアルに「中年童貞」の告白をしちゃっているのだ。しかも、このあたりのキャラ設定はブレブレで、インタビュー途中で「実はモテている」という話に変わっていたりもしているのだが、せっかくなので守護霊ではない、星野源本人は役柄と童貞についてどう語っているのか見ていこう。
〈なんでかな。俺、童貞じゃないんだけどな。
この童貞あてがわれ力。今まで出演した大人計画の舞台での役も8割方童貞である。もはやこうなってくると設定に童貞と書かれていない役までもが、実は童貞だったんじゃないかと思えてくる。恐ろしい。
俺、童貞じゃないからね!
こうやって強調すると本当に童貞みたいだ。いや、いい。童貞に見えるから童貞役がくるのだ。それは喜ばしいことなのだ〉(『蘇える変態』マガジンハウス)
aikoに二階堂ふみと、彼の女性遍歴を見れば、童貞でも草食系男子でもなく肉食なのは明白。もしかして、大川総裁は『逃げ恥』で演じた平匡と星野本人を混同しているのでは……と心配になるが、そんなものにいちいちツッコミを入れるのも野暮なので先に進みたい。
彼の仕事の主軸となるのはミュージシャンとしての活動になるわけだが、これに関する言及がまたひどい。
曲づくりのプロセスについて質問された星野源の守護霊は、お風呂の鼻歌でつくっているとこともなげに語っているのだ。
「お風呂なんかに行って、(タオルで体を洗うしぐさをしながら)「塵を除き、垢を除かん」みたいな感じでやっていると、そうした悟りの姿が現れて、天から啓示が降りてきて、鼻歌が出てきて、お風呂のなかで歌っていると、それが次に、「あっ、この曲いいんじゃない?」っていう感じになるわけですよね」