実際、04年6月、巨大広告代理店・電通が「GAIEN PROJECT「21世紀の杜」企画提案書」なる企画書を作成し、ゼネコンや都庁、政界関係者などに持ち込んでいたことがわかっている。この企画書には、外苑誕生100周年と東京五輪招致を組み合わせて、神宮球場をドームにする計画などの明治神宮が所有する土地を含む神宮外苑の再開発プランが示されていた。だが、この企画にはさらに元があった。それは、電通の企画提案書が作成される1年前、JEM・PFI共同機構というゼネコンなどが加盟する団体が提案した「東京都防災まちづくり計画事業提案書」だ。この計画は、神宮外苑を防災拠点とするという名目で高層マンション建設を提言するもので、電通の「GAIEN PROJECT」はこの計画を発展させたものだと思われる。
しかし、問題はこれを作成したJEM・PFI共同機構の正体だ。まったく聞きなれない名前の団体だが、この団体の代表は米田勝安氏(故人)といって、江戸時代後期の国学者・平田篤胤を祀った平田神社の宗家6代目当主であり、森喜朗会長の親友と言われていた人物なのだ。
つまり神宮外苑再開発は、明治神宮に太いパイプをもつ米田氏が立ちあげ、森会長が米田氏の協力依頼を受けて電通やゼネコンを巻き込んで本格的なプロジェクトに発展させていったと考えられるのだ。また、東京都は新国立競技場の建設に絡んで建物の高さ制限を75メートルから80メートルにまで緩和し、一昨年より神宮外苑地区の本格的な再開発に踏み出したが、この規制緩和の背景にも森会長が関わっていたのではないかという疑惑もある。そして、この神宮外苑地区再開発もまた、森会長と親しいゼネコンが建設を受注する可能性はかなり高い。
人事から建設利権にまでおよぶ森会長の暗躍を考えれば、果たして東京オリンピックは誰のものなのか、その答えが見えてくる。この森会長の私物化を黙認しているのは他ならぬ安倍首相だが、こっちはこっちで「共謀罪がないと東京五輪は開けない」などと言い出し、五輪を共謀罪成立のダシに使おうという浅ましさを剥き出しにしている。
こんなふうに森会長や安倍首相といった権力者のオモチャにされるのなら、東京オリンピック開催は即刻返上したほうがいいだろう。
(編集部)
最終更新:2017.11.15 07:23