「先生がダメな時は四者会談、私が行きますよ。向こうが緑なら私はピンクかな」
そして、ピン子は五輪組織委の顧問に就いていることにもふれ、「そういうのやるとみんな近づいて来るんですね。(五輪の)入場券の欲しさに。それは一枚も受けないことに決めております」と話したという。
つまり、選挙戦にも応援に駆けつけてくれる仲良し女優との“絆”の証しとして、森は五輪組織委の顧問および聖火リレー検討委メンバーに有識者でもなんでもないピン子をねじ込んだ、というわけだ。
もう溜息しか出てこないが、森によるピン子のゴリ押しは、何も驚くようなことではない。実際、森はこれまでも組織委会長という立場を“悪用”して東京五輪を“私物化”してきたからだ。
たとえば、大騒動となったエンブレム問題や新国立競技場問題の主犯は、言わずもがな森だ。パクリ疑惑の挙げ句、白紙撤回されたエンブレムのデザインについては、森会長が審査委員会で選ばれた案に注文をつけ、佐野研二郎氏にやり直しをさせていたことが判明。新国立競技場についても、ザハ・ハディド案が3000億円以上かかるということが発覚して国民からの強い批判を受けても、2500億円に修正しただけでそのまま進めた。その結果、もっと金がかかることや工期に間に合わないことが次々と露呈して白紙撤回という事態になったのだ。
だが、もっとも醜いのは、森会長と大手ゼネコンの癒着疑惑だ。新国立競技場問題から囁かれてきたように、大成建設と森会長は“深い関係”にあると見られ、「週刊文春」(文藝春秋)9月15日号では森事務所で資金集めを行っていたという元関係者が「多くのゼネコンとお付き合いがありましたが、最も近いのが大成」「特に、森氏の元金庫番と大成の幹部とはズブズブと言っていいほどの親しい関係」と証言。
そして、その関係を象徴するように、建設費をめぐって批判が高まったものの森会長がゴリ押してしまった「海の森水上競技場」は、大成建設のジョイントベンチャー(JV)が落札率99.99%にあたる約249億円で落札。大成建設はザハ・ハディド案および白紙撤回後の隈研吾案でも新国立競技場の受注に成功しているのである。
さらに、森会長には、東京五輪招致、新国立競技場建設にともなう「神宮外苑地区の再開発」への暗躍も囁かれている。詳細は本サイトの既報にある通りだが、一貫して森は国立競技場の改修および神宮外苑地区の再開発を主張してきたが、じつは新国立競技場を核とする神宮外苑再開発計画は、いまから10年以上前にすでにもちあがっていたものだ。