しかし、「新潮45」の時任ルポは外務省筋の証言として、こうした見方をすべて「実際は違います」「真っ赤なウソ」と否定、実際は統一教会に近い安倍首相の側近議員が動いたと指摘しているのだ。
〈この側近は、これまで霊感商法や家族分断、合同結婚式など多数の被害を生み出してきたカルト集団・統一教会(現・世界平和統一家庭連合)およびその政治組織である国際勝共連合と選挙応援などを通じてかねて近しく、彼らがトランプ氏とホットラインを持っていることを知っていたのである〉
記事によると、側近議員から提案を受けた安倍首相は自ら統一教会系政治団体・国際勝共連合の重鎮であるYに直接、コンタクトを取ったのだという。Yは統一教会に協力的な「勝共推進議員」養成、自民党への秘書派遣や選挙協力など、同団体の政界への影響力行使の中心を担っていた人物。そして、安倍首相の意を受けてYは、統一教会開祖の文鮮明(故人)の妻で、現在の統一教会実質トップの韓鶴子に電話を入れたというのだ。記事では公安関係者が、韓のその後のトランプ陣営への働きかけをこう証言している。
「Yは彼女(韓鶴子)経由で、トランプ氏の信頼が厚く人事やスケジュール管理を行っている長女イバンカの夫、すなわち女婿であるクシュナーにつなげ、まずは即電話会談、それから安倍首相の外遊日程に合わせての直接会談——すなわち11月19 日からペルーで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会談前の17日に会えるよう運んだのです。韓と女婿が、それぞれ経営する新聞社や不動産会社などの関係からつながりがあったことから実現した話です」
たしかに、安倍首相と統一教会は切ってもきれない親密な関係だ。安倍首相の祖父・岸信介が国際勝共連合設立に関与していたことは有名な話だし、安倍首相自身も官房長官時代の06年、統一教会系の「天宙平和連合」の合同結婚を兼ねた集会に祝電を送るなど、統一教会への関与がしばしば取りざたされてきた。
また、安倍政権が発足して以降、統一教会と自民党との協力関係も非常に活発になっている。同記事にもあったが、13年の参院選では、安倍首相が強く推していた同郷の北村経夫参院議員を当選させるために統一教会が露骨な選挙支援をしているし、14年には、日本統一教会の徳野英治会長の特別講演で、安倍首相の側近である萩生田光一官房副長官が来賓のあいさつをしている。他にも、衛藤晟一首相補佐官や稲田朋美防衛大臣など安倍首相の側近議員の多くが統一教会系のイベントで講演を行っている。
さらに、15年の安保法制強行採決の際には、安保法制に反対するSEALDsに対抗するかたちで、安倍政権支持の活動を行うUNITEなる学生団体が出現したが、実はこの団体の正式名称は「国際勝共連合 大学生遊説隊 UNITE」。つまりその正体は「国際勝共連合」だったことも明らかになっている。