「(政治を)愚弄などしていません。腹が立つのは大いに結構で、私も騒がせただけで、恥じ入るところは多い。けれども、たとえば自分たちはメディアの側から、何かを言っていくのが本業だと思っています。日本が非常に怖いのは、戦前に近いような、自主規制や自粛も含めて自由に物が言えなくなってくる時代だとすごく感じるんです。きな臭さを感じるんです」
自主規制が進み、言論が抑圧されていることへの危機感を感じないのか、とまさに本質をつくような切り返しをしたのだ。さらに、石田は、東国原に対してこんな質問を投げかけた。
「ひとつだけうかがっていいですか。集団的自衛権についてどうお考えですか」
この質問は石田がいまも、安倍政権に強い危機感を抱いていることの証明だろう。
そもそも、石田が政治的行動をはじめたのは、安倍政権が集団的自衛権を容認し、安保法制を強行しようとしたことを受けてのものだった。国会前のデモに参加してスピーチを行い、メディアに対しても理路整然とした安保法制批判を口にするようになった。都知事選出馬表明も、直後に参院選が予定されており、自民党が「憲法改正」という争点を隠して参院選に臨もうとしていたことに危機感を抱いたためだった。石田は自身が捨て石になって、それに一石を投じ、野党共闘を盛り上げようとしたのだ。
都知事選出馬が取り沙汰された今年7月の会見で、石田はこう訴えている。
「市民目線では、憲法改正とか集団的自衛権について、話し合ったほうがいいんじゃないのか。憲法のどういうところを変えていくのか、新しい日本にするのは結構だけど、どういう日本に変えていくのか。文言とか改正すべき点とか、そういうものがまったく論議が行われていない」
「笑われ、バカにされ、生活も厳しくなるかもしれないが、立ち上がったほうがいいと思った」
ようするに、石田はこのときの思いをまったく捨てていなかったのだ。実際、石田の政治的発言は、この『バイキング・ゴールデン!』だけじゃない。「女性自身」(光文社)11月29日・12月6日合併号でも、「“都知事選出馬騒動”から3カ月──石田純一『理子も実は選挙応援を』真相激白100分」と題するインタビューが掲載されているが、子どもたちの将来を真剣に考えるからこそ、と現在の思いや夢をこう語っていた。