「これらは完全に陽動作戦だといわれています。維新はどうも、出馬を隠し、清水アナにギリギリまで番組に出演させ、最高のタイミングで出馬を表明するという作戦を考えていたらしい。いま、橋下徹元大阪市長がやっているのと同じですね。民間人のふりをして冠番組を持ち続け、ギリギリのところで、国政に出馬する。そのローカル版をやろうということだったんでしょう」(全国紙政治部記者)
まったく呆れるやり口だが、しかし、その清水アナのニュース番組を放映する読売テレビはテレビ局としてこんなことを許していいのだろうか。橋下氏の『橋下×羽鳥の番組』(テレビ朝日)も放送法違反に当たる可能性は十分あるが、清水アナは読売テレビの社員、局アナである。そういう立場の人間が選挙の事前運動まがいのイベントを開き、維新の議員に挨拶に連れまわされたり、イベント出演時に後ろを固めてもらっているのは、もっと問題だろう。
「読売テレビは、辛坊治郎の番組を複数放送していることからもわかるように、局ぐるみで維新べったりですからね。清水アナの動きも知っていながらずっと黙認していたんです。しかし、この秋に堺市市長にツイッターで暴露されたあたりから、局に批判が多数寄せられるようになり、かなり慌てていたようです。新聞などからも取材が入っていたらしく、このままいくと、BPO案件にもなりかねない。それで、清水アナに決断を迫ったんじゃないでしょうか。実は、維新サイドはもっとギリギリのタイミングでの退社を考えていたと聞いています」(在阪テレビ局関係者)
一方、こうした批判の声に、清水アナ自身もかなり弱気になって、出馬に躊躇し始めたという情報もある。だとすると、今回、清水アナが政界への転身を完全否定したのも、目くらましでなく、迷いの表れということなのか。
いずれにしても、同局の発表によれば、清水アナは来年1月27日の放送をもって番組を降板する。今回の退社報道を受け、「今、やるべき事を考え、今日の決断に至りました」とコメントを発表した清水アナ。もし、維新の思惑に乗せられ、みこしに担がれることが「今、やるべき事」なのだとすれば、亡き妻と一人息子思いの“美談”も色あせてしまうだろう。
(編集部)
最終更新:2016.12.27 12:44