“SMAP”としての5人を見ることが出来るのは、今日で最後
本日、ついに『SMAP×SMAP』(フジテレビ)が20年9カ月の幕を下ろす。SMAPは『NHK紅白歌合戦』への辞退を発表しており、きょうの放送が事実上、SMAP最後の姿となる。
しかも、きょうの『SMAP×SMAP』では生放送パートはなし、さらにはラストメッセージさえもないとスポーツ紙は報道。12月1日収録で「世界に一つだけの花」を歌唱したといい、歌い終わると中居正広が肩をふるわせて号泣したと伝えられているが、これがきょうのラスト、SMAPの最後を飾る可能性は高い。
国民的アイドルグループとして芸能史を変えた彼らが打つ終止符と考えると、あまりに寂しすぎる最後──。だが、木村拓哉以外の4人にとって、これが嘘偽りのないSMAPのいまのかたちであり、「SMAPのドキュメント番組」でもあった『SMAP×SMAP』の最後にふさわしいはずだ。
というのも、彼らはビジネスで「仲の良いふり」をしているグループとはまったく違い、ほんとうに「仲が良かった」ゆえに、演技して関係を取り繕うことができないからだ。
たとえば、現在は嵐を筆頭に男性アイドルグループにとって「仲の良さ」を押し出すことは必須であり、バラエティ番組などではこれ見よがしにじゃれ合う。こうした“戦略”が生まれた原点こそが、『SMAP×SMAP』における5人の振る舞いだ。
SMAPの魅力のひとつには、メンバー間の忌憚のなさがある。中居が音痴であることや稲垣が一向に踊れないことなど「アイドルのタブー」をギャグにしたのはSMAPが最初だが、SMAPはそうやって互いが互いをいじったり、言いたいことを言い合うことでキャラクターを際立たせてきた。それが『SMAP×SMAP』を通して、世間に広く「仲が良いグループ」として認知され、微笑ましいものとして受け入れられたのだ。
タモリは以前SMAPのことを「アイドルグループの歴史を変えた」と称賛した際、「5人の個性がバラバラ」であることを要因としたが、そもそもSMAP以前はこの“キャラ立ち”という評価がアイドルグループに求められることもなかった。このSMAPのメンバーそれぞれのキャラを確立させたのは、それがSMAPの魅力になると確信していた飯島三智元マネージャーの手腕であるが、キャラ立ちの必要性だけではなく、仲の良い様子を見せることが人気につながるという「アイドルグループの掟」をもSMAPは確立したのだ。