また、11月29日の東京五輪4者協議での森喜朗元首相との激論も、政権補完勢力の道を拒む要因となる可能性が囁かれている。有明アリーナ新設予定のバレーボール会場を既存の横浜アリーナに変更したいと提案した小池知事に対し、森元首相が「横浜は迷惑していると聞いている」と批判するバトルが実況中継され、「予算削減を目指す改革派知事VS新設固執の抵抗勢力」という構図が浮き彫りになった。
しかし4者協議直後(29日)は「要請があれば協力したい」と中立的な立場だった林横浜市長はその後、12月7日の会見で開催困難との認識を示し、有明アリーナ新設を求める競技団体の意向重視を求める文書を出すなど否定的になった。
「地元では『表は林市長だが、裏で仕切っているのは菅官房長官』という見方がありますが、今回の林市長の方針変更については、『小池知事と激論を交わした森元首相と連携する菅官房長官が林市長に横浜アリーナへの会場変更案潰しを働き掛けたのではないか』と囁かれています」(永田町ウォッチャー)
真偽は不明だが、もし菅官房長官の水面下の工作が事実であるならば、激怒した小池知事が安倍政権との対決姿勢を鮮明にするべく、「政権補完勢力」の道を拒否する可能性は一気に高まるだろう。
自民と維新のゴリ押しによるIR法案成立、森元首相と小池知事の対立激化、そして都議会の自公決別、カジノ法案によって生じた自公連立政権の亀裂が加わり、日本の政治の枠組みが激変する可能性が出てきた。
「維新が政権を奪取か」と言われた2012年、選挙プランナーの草分け的存在の三浦博史氏(「アスク」社長)は「今年の政治は大阪から動く」と予言、実際、維新政治塾を設立した橋下氏が“産みの親”のような働きをして第二次安倍政権が誕生した。
4年後の2016年、「東京から日本の政治が変わる」という兆しが芽生えてきた。「政界渡り鳥」とも言われて世論の風を読むことでは天下一品の小池知事が今後、どちらの道を選ぶのか。そして、三浦氏を“師匠”と仰ぐ若手選挙プランナーの松田氏が小池新党結成にどう関わるのか。今後の動きが注目される。
(横田 一)
最終更新:2017.11.12 01:48