売国奴疑惑の根拠は他にもある。海外カジノ企業が主張する“詐欺的IR推進論”を、何人もの名だたるIR推進派が口にしていることだ。
IR推進議連のメンバーだった小池百合子知事は、9月2日の会見で「カジノとIRは別物」と訴えた。
「IRはただカジノだけではない。私はむしろカジノが真っ先に語られることによって『教育的にどうだ』『中毒になってしまう問題があるのではないだろうか』、あと社会的な問題、いろいろな議論があって、それはむしろ進みにくい、思考停止に陥ること、だからIRに変えたのだと思う。私自身はエンターテインメントを考えるという意味でのIRは積極的ですが、カジノだけ特筆して引っ張ってくるということで国内を二分するような議論をしているのはプラスではないのではないだろうかなと思うところです」
橋下徹・前大阪市長も大阪都構想の住民投票の際、こう訴えていた。「全敷地面積の3%がカジノですが、残りの97%はホテル・美術館・国際展示場・博物館・ショッピング街。こういうものを作ります。大体、1500万人から2000万人の観光客が来る」「カジノを含む統合型リゾートを持ってくれば、大阪再生の起爆剤になると思って推進しています」。
自民党の西村康稔・副幹事長も4日のNHKの『日曜討論』で「カジノは全体面積の3%以下ということで、カジノがメインではない」と強調。シンガポールのIRにはショッピングセンターや水族館や劇場があると紹介したりもした。
カジノの面積はIR全体5%程度だが、売上高の大半を叩き出す「収益エンジン」(鳥畑与一・静岡大学教授)。ギャンブル依存症の父親が大損する傍らで、母親と子供が“格安ディズニーランド”で楽しむという構造で、しかも宿泊や食事代の値引きなどのサービスで“上客”(ギャンブル依存症患者)を囲い込むIRは、周辺のホテルやレストランなどを衰退させる悪影響を及ぼす。
しかも巨大ハコモノ建設で、人手不足や資材不足による工事費高騰をさらに悪化させる問題もある。工事を請け負うゼネコンや海外のカジノ業者は儲かっても、国富流出やギャンブル依存症患者増加や地域経済破壊の弊害があるのだ。
IRには、推進派議員の地元への利益誘導という側面もある。