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乃木坂46橋本奈々未「弟の学費負担」を美談ですませるな!「ロケ弁ほしさに芸能人になった」彼女が語る貧困の現実

「奨学金はほとんど学費につぎ込んで、生活費はもう自分でバイト掛け持ちしてやりました。無理でした(苦笑)」
「親から完全に自立してやってくって啖呵切って(東京に)来てるから、なんか弱音も吐けないし、ってところでだんだん精神的に不安定になって」

 橋本は雑誌のインタビューでも当時を「おにぎり1個の生活でしたから」(「FLASHスペシャル」14年9月10日号/光文社)と振り返っているが、なかでも橋本が語る乃木坂のオーディションを受けた理由は象徴的だ。

「どうにか東京で生活、自分でする術はないかって考えたときに、芸能界のロケ弁が頭に浮かんで。芸能人になればロケ弁をもらえる」(前出ドキュメンタリー映画内の発言)

 オーディションを受けた動機が「アイドルになりたい」ではなく「ロケ弁がもらえるから」。夢も希望もないと感じる人もいるかもしれないが、しかしこの言葉は現実をよく表している。せっかく希望の大学に入っても、ただ生活費を稼ぐことでいっぱいいっぱいの毎日を強いられている学生は少なくないからだ。

 私大では学費が高騰をつづけ、国公立でも40年前と比較すると15倍にあたる年間約54万円(2015年度)とOECD加盟国のなかでも日本はとくに授業料が高い国だが、当然、しわ寄せを受けるのは家計であり、学生だ。藤田孝典氏の著書『貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち』(講談社)では、現在の学生が立たされている苦境を大内裕和・中京大学教授がこのように述べている。

「学生が、親からもらえる家計からの給付は、この10年間で150万~160万円から120万円へと、約40万円下がりました。仕送り額は、1990年代半ばは6割以上が月に10万円以上だったのが、いま、10万円以上は3割を割っていて、むしろ5万円未満がどんどん増えている。
 東京でアパートを借りて、親からの仕送りが5万円未満で、働かないで生活できるはずがないのです。首都圏の私大・短大生を対象にした調査では、仕送り額から家賃を除き、30日で割った「1日当たりの生活費」は、1990年の2460円から、2014年にはついに897円となりました。1日900円も使えないのが、いまの大学生です」

 家計支出の減少、そして奨学金を利用する学生が2人に1人という状況の背景にあるのは、親の経済状況の変化だ。現に、1世帯あたりの平均所得は2015年で約541万円だったが、これはピーク時の94年と比較すると122万円も減少している。さらに、非正規雇用の世帯やひとり親世帯となると、家計から学費や仕送りを捻出するのは困難な状況だ。

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