いちいち確認するまでもない話だが、今回、問題になっているのは、外国人だけに寿司の常識では考えられない大量のわさびを入れて供していたことであって、そこに「テロ」と揶揄される理由があった。一方、韓国料理にキムチをはじめとして唐辛子を用いたものが多いのは、たんに韓国の伝統的な食文化だからである。
しかし松本は、この両者の決定的な差をすっ飛ばし、韓国料理を全部ひっくるめて「辛子テロ」「キムチテロ」と攻撃している。これは完全に問題のすり替えだ。
今回の騒動は、韓国から日本に訪れた観光客より、その寿司店ではわさびが多かったという意見が集まっていたことから発覚したもので、なかには韓国人に対する差別的な言葉を同店で聞いたという声もあった。もちろん、これにかんしては問題の店舗が否定しており、差別的意図がなかった可能性もある。
しかし、松本と東野の「辛子テロ」「キムチテロ」という発言のほうは、他国の食文化をバカにするもので、立派な差別発言だ。
実際、松本には、そういう意図があったはずだ。「おまえらがわさび多く盛られたくらいで“差別”だのなんだのぬかすなら、おまえらも“辛子テロ”じゃ」というのがおそらく彼の本音であり、明らかに確信犯で韓国を狙い撃ちし、ヘイトスピーチを放ったのだ。
だが、案の定と言うべきか、ネット右翼系のまとめサイトなどでは松本の発言を「全くその通り」と賞賛するコメントが書き込まれ、「寿司にワサビが入ってるのは当たり前だ。嫌なら食わなきゃ良いんだよ」「わさびって安価なもんじゃねーんだぞ 増量するってのは心からのサービス精神なんだぞ」などという投稿が行われている。
まったく連中の文脈無視には毎度のことながらうんざりさせられるが、しかし、ネット上でこういう喝采を浴びるのも、松本は計算済みだったのかもしれない。