ようするに、小池氏はこういう“密”な関係にある元秘書・森口氏に対して、09年から「世論調査」の対価を支払っていたことになる。日刊ゲンダイの取材に対し森口氏は「(世論調査は)電話帳の情報をもとにPCから直接電話をかけて調査しました。全て一人でやっていました」と答えているが、どう考えても無理があるだろう。ようするに実態は、ペーパー会社を隠れ蓑にして自分の秘書に資金を還流することで、「裏金」を作っていたのではないか。小池氏は、森口氏との関係や、発注した怪しい「世論調査」の内容について、詳細に説明する責任がある。
以上、「週刊朝日」や日刊ゲンダイなどが報じた小池氏の疑惑の数々を駆け足で見てきた。いうまでもなく、東京都では猪瀬直樹氏、舛添氏と続けて政治と金の問題で知事が辞任しており、これ以上の都政の混乱を回避するためにも、小池氏もこの点について厳しく追及されるべきだ。
しかし繰り返すが、こうして報道されている疑惑を、テレビや新聞などの大マスコミはまったくといっていいほど無視。舛添氏の場合は寄ってたかって血祭りにあげたにもかかわらずだ。
「結局、新聞もテレビも安倍官邸を忖度しているんだろうね。舛添氏の場合、もともと第一次安倍政権のときに“安倍おろし”の急先鋒で、改憲でも首相と息が合わなかったから、政治と金の問題が取りざたされた初期から“ゴーサイン”が出ていた。一方、小池氏は改憲でも基本的に安倍首相の考えと一致しているし、実際、都連を敵に回して出馬したのに当選してすぐ安倍首相への擦り寄りを見せている。首相も小池氏との会談などで盛んに『手打ちムード』を演出して長期政権を支持しているから、その空気を感じているマスコミは当分の間は小池氏の問題を追及できないと思うよ」(政治評論家)
何度でも繰り返すが、本来、メディアの役割は「権力の監視犬(ウォッチドッグ)」のはずである。だが日本のマスコミは、権力に「待て」と言われれば下を向いてしゃがみこむことしかできない。冒頭に触れた稲田防衛相ら現役閣僚にしても、安倍政権と同調姿勢を見せる小池都知事にしても、マスコミ連中が疑惑を深く追及しないのは、そういうことなのだ。
民主主義を自ら手放すメディアを、われわれは指をくわえて見ているだけではならない。マスコミが腰を上げざるをえなくなるよう、疑惑を徹底追及する世論を喚起させる必要がある。
(編集部)
最終更新:2016.08.16 08:04