今回の「女性自身」が悪質なのは、こうした日本の悪しき母親責任論を体現していることに加え、雨宮の元夫の現在の妻(の友人)に代弁させる形で雨宮に対するこんなバッシングさえ展開していることだ。
「フランスでは前妻に結婚当時と同じステータスを保証する義務があるらしく、青木さんは今も雨宮さんに生活費を払っているそうです。そのことにも彼女は不満を漏らしていました。『子供たちの通うインターナショナルスクールの学費も高額で、ただでさえ大変。だから私は経済的なことも考えて子作りを諦めたのに、なんであの人だけいい思いをし続けているの?』とも話していました」
記事では雨宮が高級ランチを食べていることなどをあげつらい“セレブ生活”などと揶揄しているが、しかし学費、生活費を支払うのは父親として当然のことで、それを分担させた母親への批判はまさに筋違いだ。
毎度毎度ウンザリさせられる“母性神話”の押しつけ。これは芸能人ママに向けられる“育児放棄バッシング”とも共通する悪しき母性神話の刷り込みだ。働く著名人が子育てを夫やベビーシッターに分担してもらうだけで、浴びせられる的外れなバッシング。そして置き去りにされる父親の子育てに対する責任論。これらに安倍政権による子育て政策の軽視が加わるのだから、少子化が解決しないのも当然だろう。
夫婦が子育てを等しく分担、共有し、家族だけでなく、国や自治体、社会全体がそれに協力していくことは世界的な流れであり、少子化を食い止める唯一の方策でもあると考えられているが、日本社会の旧態依然たる母親への責任おしつけは一向に改まる気配はなく、さらに加速さえしているように見える。
「女性自身」をはじめとする女性週刊誌は今回のような母親バッシングは決して女性のためにならないことを、肝に銘じるべきだろう。
(林グンマ)
最終更新:2016.07.15 03:17