しかしこの間、自民党は民放各局に露骨な圧力を加え、この“オバマCM”をゴリ押し。電通、ADK、I&Sという3つの代理店を駆使して、各局の営業部に毎日のように押しかけてきたのだという。なかでも強硬だったのは電通だ。担当するフジテレビに対し、弁護士を連れて直接乗り込んできたのだ。フジテレビ関係者は本サイトにこう証言していた。
「取締役局長クラスと会って、オバマ訪広も経済実績も党の政策の結果だと正当化したようです。あと、上層部にも他のチャンネルから働きかけがあったと聞いています。テレビ局としては、官邸ににらまれるのは怖いので、本音としてはそのまま放映したい。ただ、そのまま出せば出したで、明らかな公選法違反ですから、絶対に問題になる。営業部も考査部も板挟みになって頭を抱えていました」
さらに同じく電通が窓口となったTBSにも先々週、同様に自民党が弁護士を連れてきていたという。さるTBS関係者がこう語る。
「フジに自民党が弁護士を連れてきたというのをリテラを読んで知り、本当なら露骨な圧力だから、『うちは大丈夫か?』と営業の人間にそれとなく聞いてみたんです。そうしたら、TBSにも先週(=6月13日〜17日頃)同じように弁護士がやってきたという。やはりTBSも自民党から相当のプレッシャーを受けていたのは間違いない」
ところが、21日、本サイトがこの政党CMをめぐる圧力問題を報じたすぐ後、自民党は一転して、一斉に“オバマCM”案を引き下げてしまったのだという。おそらく、自民党はこの圧力問題が世間に広まったら、自分たちに批判の矛先が向きかねない、逆効果になる、と考えて態度を一変させたのだろう。
そして、先週末から、テレビではオバマの画像がカットされたバージョンのCMが流れ始めた。
しかし、だからといって、現在、放送されている政党CMに問題がないわけではない。実は自民党は事前にオバマの広島訪問の画像が拒否された場合を想定して、二段構えの策を講じていたのだ。
それが、現在テレビで放送されている自民党の“経済実績”を喧伝する数字だ。これも実は、CM案が届けられた当初から各局のCM考査部で「誇大広告ではないか?」との疑問の声があがったいわくつきのものだった。