YouTube「自民党公式チャンネル」より
やはり、本サイトが報じた自民党の“違法CM”ゴリ押しは事実だった。6月25日、YouTubeの自民党公式チャンネルが「この道を。力強く、前へ。」なるタイトルのCMを公開した。まずはその中身を紹介しよう。
まず、最初に安倍首相が青空をバックに登場し、「日本は今、前進しています」と宣言する。その後に〈雇用110万人増加〉〈国民総所得36兆円増加〉〈賃上げ2%達成〉〈有効求人倍率全都道府県で1倍超 史上初〉〈賃上げ2%達成3年連続〉等のテロップとともにそれらの“経済実績”を強調する安倍首相のナレーション。そして、安倍首相が「止めてはいけない、この流れを」というセリフを口にすると同時に、米オバマ大統領と安倍首相が一緒に映っている写真が2枚映し出される。一枚は平和記念公園の原爆死没者慰霊碑をバックに二人が握手しているツーショット写真、もう一枚は、伊勢志摩サミットに出席した各国首脳の中心で2人が並んでいる記念写真――。
そう、自民党という特定の政党のCMに他国の大統領が突然、登場するのだ。いくらYouTubeとはいえこんなことが許されるのか、自民党はオバマに許可をとったのか、と心配になるが、これは本サイトが6月21日付でスクープした自民党の政党CM案の内容とほぼ同じものだ。実は当初、自民党はこの映像を参院選向けCMとしてテレビ各局に持ち込んでいた。
しかも、これはネットだから、巧妙に法の網の目をかいくぐっているが、もしもテレビで流されたとしたら、確実に公職選挙法に抵触するシロモノだ。
そもそも公選法では、細かい規定のある政見放送等を除いて選挙運動にテレビを利用することは禁じられており、政党CMも通常の時期と同じ「選挙運動が目的でない政党の日常の政治活動」の広告でなくてはならない。ところが、自民党がゴリ押ししたオバマの広島訪問は、明らかに日本政府の外交の結果であって自民党の活動ではない。当然、放送局は罰則を受けることになるから、とうてい放送できるわけがなく、実際に、現在テレビで流れている自民党の政党CMからはオバマ訪広の部分はカットされている。