そして、なんとか駒ヶ岳演習場の廠舎までたどり着いたときには、ふたりとも完全にバテバテだった。「文春」記者はこう綴っている。
〈出発地点から廠舎まで、大人の足で約三時間かかった。足の裏は擦れて赤く腫れ、ヒリヒリ痛む。膝もしばらくガクガクと震えていた。小学二年生が無事にこの道を歩き切り、じっと助けを待ち続けたという事実に驚くばかりだ〉
完全に小学2年生に完敗である。しかも、これはけっしてオーバーな話ではない。この「文春」「新潮」の記事を読んでいると、改めて、大和くんのタフさと精神力に驚かされる。百戦錬磨の週刊誌記者がビビり、疲労困憊になった10キロを、大和くんは夕暮れ時、たったひとりで歩いたのち、6日間も水だけでしのぎきったのだ。しかも、途中で遭難だけでなく、熊に襲われるという危険性もあった。そう考えると、そのサバイバル力にはひたすら感心するほかはない。
ちなみに、「文春」と「新潮」はどっちが上だったか、という問題だが、「文春」記者はヘロヘロ、「新潮」記者はビビりまくりということで、「ドロー」というのが妥当だろう。
「文春」「新潮」は今回の記事の中で、ちょいちょい、大和くんのやんちゃぶりをディスり、「石を投げたら、怒るのは当然」というコメントを載っけたり(新潮)、「大和くんの将来のために正しいしつけが必要」とご高説をぶったり(文春)していたが、両誌の記者はエラソーに説教をする前に、自分たちがもう少し度胸と体力をつけたほうがいいかもしれない。あんたたちは一応、泣く子も黙る週刊誌記者なんだから。
(井川健二)
最終更新:2017.12.05 09:57