実際、橋下自身の舛添に対する物言いもこの間、微妙に変わりつつある。高額出張費や公用車問題が指摘され始めたころ、4月28日のツイッターでは、
〈舛添さん、意地になり過ぎ。会見は無理筋。早く有能な舛添さんに戻って!〉
と、舛添に対するエールともアドバイスとも取れるコメントを発していた。5月11日段階でも、
〈舛添さん、ここまで来たら思いっきり謝って、もう一度チャンスを下さいと都民にお願いするしかないね。国会議員だってこの程度のことはある。都民に土下座する姿勢であればまだ許されるギリギリのところでは?そうでなければ辞職だね〉
と、辞職に言及するものの、まだ一部で理解を示していた。それが、20日の会見を受けたツイッターでは、
〈今後の決着の仕方は(1)辞任 (2)有権者146万人の署名によるリコール→住民投票 (3)都議会4分の3による不信任決議〉〈(1)(2)は難しそうなので、最後は住民の代表である都議会が不信任決議をするかどうか〉
といきなり、議会の不信任決議を煽っているのだ。
さらに、いま囁かれているのが、6月1日辞任表明、そして7月10日の参院選との同日選挙というシナリオだ。都政担当記者が言う。
「それはありうるシナリオです。舛添がいま頑張っているのは、6月まで在任すれば今年の夏のボーナス(約380万円)の受け取り資格ができるからだという説があり、6月に入れば意外とアッサリ諦めるかも。さらに、いま盛んにネット上で選挙費用が約46億円もかかるとか、選挙に対するネガティヴキャンペーンが張られているが、参院選との同日選なら経費も半分程度で済みますから。反対する理由がなくなりますね」
また、安倍首相は、参院選で大勝するために衆院とのダブル選挙を模索しているが、熊本地震の影響で批判も大きく、事前調査の結果もよくない。しかし、都知事選との同日選挙で橋下を都知事候補に擁立できれば、同じ効果が得られることになる。さらに、橋下を全面に立ててトリプル選挙にするという可能性もある。
まさに悪夢のシナリオ。これがただの永田町の“ヨタ話”であることを祈るばかりである。
(野尻民夫)
最終更新:2016.05.23 08:56