この問題をスクープしたのは「週刊ポスト」(小学館)1997年3月7日号。その記事の内容は、〈外務省の若手課長の中でもエース格で、将来の事務次官候補とみられている総合外交政策局のS課長〉が、93年8月から95年1月までの次官秘書官時代、機密費を私用流用していた、というものだ。このS課長こそ、現・外務審議官の杉山氏なのである。
その内容は、家族旅行の費用を「会議費」として落としていた舛添氏を彷彿とさせるものがある。たとえば、杉山氏が機密費として使ったホテルニューオータニのレストランの請求書の明細には「キッズ・ランチ」2人前があった。杉山氏は当時、「ポスト」の直撃取材に対し、自身に子どもが2人いると回答しているが、舛添氏と同じように家族サービスを機密費で賄っていたようだ。
だが、杉山氏の機密費流用の内訳は、舛添氏の上を行くゲスっぷりだ。
〈東京・向島の料亭街。(中略)そこでもS氏は《外務省のS》といえば知らぬ者がいないほどの有名人で通っている。しかし、人目を引く羽振りの原資は外務省の機密費だった。料亭の請求書は斉藤(邦彦)次官名で決済され、支払われた〉
〈エリート外務官僚たちは、料亭で“ろうそく遊び”に打ち興じていた。下品な話になるが、真っ裸になってろうそくを肛門に立て、火をつけて座敷中を這い回るという、品性も何もない最低の遊びだ〉(「週刊ポスト」記事より)
税金で高級料亭に通い、酒池肉林に耽る──。しかも杉山氏の疑惑はこれだけではない。「ポスト」が掴んだ請求書・領収書は、料亭を楽しんだ後に芸者を連れ出す“店外デート”の店として知られるスナックや、品川プリンスホテル内のゴルフ練習場、錦糸町のスナックなどの名が。タクシー代については多額にのぼったために、外務省が専用の公用車をあてがっていたという。事務次官ならまだしも、事務次官の秘書官に、である。
また、杉山氏は、他の幹部の請求書の肩代わりまで行っていたという。つまり自分の人脈づくりに機密費を使っていたというわけだ。