ニューヨークタイムズのインタビューに対し、「私は死ぬまで、私が見てきたものについて語りたい」「決して忘れないことが子どもたち、そして子どもたちを戦争の恐怖から守る最良の手段なんです」とも語っていた、原田氏。
その戦争と平和への思い、安倍政権への危惧を、以下に再録するので、ぜひご一読いただきたい。
(編集部)
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4月3日、米「ニューヨーク・タイムズ」に、第二次世界大戦時、零戦のパイロットだった男性のインタビューが掲載された。原田要さん、98歳。元大日本帝國海軍エースパイロットである。
原田さんは真珠湾攻撃では上空直掩隊として艦隊上空を警戒し、セイロン沖海戦、ミッドウェー海戦に参加。ガダルカナル島の戦いで撃墜され、重傷を負いながらも帰国し、教官となって終戦を迎えた。総撃墜数は19機。自らの経験を記録したいくつかの著書を残している。
「Retired Japanese Fighter Pilot Sees an Old Danger on the Horizon(元日本人戦闘機飛行士は差し迫った古い危機をみる)」──そう題された「ニューヨーク・タイムズ」の記事は、長野で行われた原田さんの講演会の描写から始まる。彼はゆっくりと壇上に上がると、セピアに色あせた写真を掲げたという。それは、革のフライトジャケットを着込んだ、若かりし頃の自分の姿だった。そしてこう語った。
「戦争ほど恐ろしいものはありません」
「私は、あなたたちに私自身の戦争体験を伝えたい。若い世代に、私と同じ恐怖を体験させないために」
講演会のあと、原田さんは「ニューヨーク・タイムズ」のインタビューに応じている。
「私は零戦のコックピットから戦争を見ました。いまだに私が殺した兵士たちの顔はよく覚えています」
「戦場でのかつての敵兵もまた、私たちと同じように父であり、息子なのです。彼らを憎んだり、知りもしないでいることはできません」
「戦争は人間から人間性を奪うのです。全くの他人を殺すか、殺されることを選ばざるをえない状況に置かれることによって」
「私は気がつきました。戦争が、私を人殺しへと変えてしまった。私はそうありたかったわけではないのに」