『不倫経済学』では、この現象は日本においても同様で、また、不況に入ると「不倫」をテーマにした映画や小説がヒットする傾向もあると分析している。例をあげれば、三島由紀夫が人妻の不倫をテーマにした『美徳のよろめき』(新潮社)が出版されたのは、なべ底不況が始まった1957年。最近でも、渡辺淳一『失楽園』(講談社)がヒットしたのは、金融危機に瀕していた97年のことである。ちなみに、テレビドラマ『不機嫌な果実』(TBS系)が放送されたのも、97年だった。
周知の通り、鳴り物入りで始まったアベノミクスも4年目に入り、完全に失速。アベノミクスは失敗に終わったのではないかとの評価が経済学者からもくだされ始めている。そんな2016年に「不倫」というキーワードがこれだけ注目されているのは、日本が再び深刻な不況に突入したということのあらわれかも……などと考えるのはうがちすぎだろうか。
(井川健二)
最終更新:2018.10.18 01:41