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SEALDs奥田愛基が古市憲寿との対談で本質をグサリ!「“どっちもどっち”論じゃ拮抗状態にすらならない」

 しかし、議論じたいは残念ながら、これ以上広がることはなかった。なぜかここで司会者が割って入ってきて、「ただ古市さんがなにもやっていないというわけではなくて、自分はデモとはまた別の方法で社会に働きかけるというようなこともおっしゃっていますよね」と助け舟を出したからだ。

 ただ、この司会者の言葉を受けて、古市氏が語ったセリフは、ある意味、“古市的なふるまい”の結末はどういうものか、を示唆しているともいえる。

「そうですね。僕自身は今はこういう仕事をしているので、政治家や官僚の知り合いもたくさんいる。だから、もしも本当にやりたいこと、変えたいことがあったら彼らに直接言いますし、ロビイングのほうが効果があると思っています」

 古市氏はこう胸を張ったのだが、冒頭でも触れたように、最近、古市氏は安倍政権=自民党と急接近している。2014年4月に「第2期クールジャパン推進会議」の委員に選ばれたことを機に、担当大臣の稲田朋美と急接近し、昨年秋には、その稲田政調会長が仕切る自民党の勉強会「歴史を学び未来を考える本部」にもオブザーバーとして起用された。

 しかし、その結果、古市氏が何かを変えたという話は寡聞にして知らない。たとえば、同氏が参加した自民党の「歴史を学び未来を考える本部」の初会合では日本の侵略や植民地支配について「西欧諸国の帝国主義に基づいた政策とは違う」「国民の誤解がある」などという歴史修正主義丸出し発言も飛び出したが、会合の後テレビの取材を受けた古市氏はまともに批判することもなく、「まっ、精神性とか文明どうこうという、なんか会の趣旨からズレたようなことを期待されてる議員の方は、多いのかなと思いました」とちらりと皮肉を言っただけだった。

 いや、それどころか、安倍政権と接近して以降、古市氏は著作『だから日本はズレている』で、初出時にあった稲田氏を皮肉った記述を褒め言葉に改ざんしたり、『誰も戦争を教えてくれなかった』という著作の文庫化に際して、タイトルを変更した上、歴史修正主義に寛容な言葉を付け加えたり、と明らかに政権に気を使って自分の言論を後退させている。

 まさに、「どっちもどっち」を気取っていた古市憲寿というひとりの学者自身が、奥田氏の指摘通り、「拮抗状態にすらもちこめず」、政権の補完者になってしまっているのだ。

 しかも、これはけっして古市氏だけの問題ではない。SEALDsのような政権を真っ向から批判する動きを「偏向」ととらえ、「どっちもどっち」と冷ややかに眺める態度を「頭がいい」「わかっている」と評価する空気は、いまや日本の言論全体に広がっている。そして、マスメディアでは「どっちの言い分もわかる」という「中立」的な意見を述べるコメンテーターがどんどん増えている。

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