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ロフトプラスワン20周年+1特別企画

あの人たちが壇上で乱闘、流血、失神…“サブカルの殿堂”ロフトプラスワン20年間のトラブル事件簿(前編)

 この上映中止のニュースは当時多くのマスコミに取り上げられ、言論の自由の根幹を揺るがす事件として賛否両論を巻き起こした。そんな時、一水会の木村三浩氏から平野氏へ一本の電話があった。

平野「木村三浩さんから『実は、日本の民族派右翼の重鎮達にこの靖国映画を観せたいと思っている。日頃、真摯に日本の民族運動をしている右翼の人たちに、とにかくこの映画を観てもらって、そこからこれからの問題を考えたいので、ロフトプラスワンの場所を貸してもらえないだろうか?』と言われて、即座に『空いている昼間の時間だったら構わない』と返事をしたんだ」

 こうして前代未聞の右翼向け試写会が行われることになった。招待状の作成やプレスリリースもロフトが行い、当日は全国から右翼、民族派の重鎮たちが、ロフトプラスワンのある歌舞伎町に集結した。多数のマスコミの取材陣も詰めかけ、ロフトプラスワンは120人の右翼と80人のマスコミですし詰め状態になった。

平野「始まる前は怒った右翼がスクリーンを切り裂くんじゃないかと心配してたんだけど、上映中は水を打ったように静かだった。しかし、上映後の討論会が始まるとそれはもう凄まじい侃侃諤諤の議論になった。私は司会だったんだけど、人生であれほど緊張する場面はそうそうなかったよ。冗談まじりに『今日は何とか皆さんにガス抜きをしてもらって』なんて言ったら、『ガス抜きとはどういうことだ! 我々はそんなことしに来てる訳じゃない』とすぐさま怒号がとんできて、これはヤバイと冷や汗が出たね」

「我々右翼は牙があって初めて右翼なんだ」「マスコミは俺たち右翼を宣伝に使うな」という厳しい意見から、「我々右翼も自分たちの手で靖国の映画を作るべきだ」という意見まで出たり、とても意見がまとまる雰囲気ではなかったそうだが、この試写会を機に『靖国 YASUKUNI』上映中止騒動は収束にむかい、結局、映画も公開に至った。

 それにしても、日本中から右翼を集めて上映会なんて企画を開催するとは、ロフトプラスワンはとんでもないところである。

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