フジテレビのトホホな体質がまた露わになったというわけだが、しかし、さらに呆れたのは連中の見事なまでの“手のひら返し”だ。フジなどは、逮捕直前、『ワイドナショー』というニュース批評番組にまで出演させてしまったのだから、てっきり、自分たちの判断ミスと恥じ入るのかと思いきや、知らんぷりして、その映像を清原叩きに利用しているのだ。
周知のように、清原が出演したときの『ワイドナショー』は、清原が「乱闘寸前」になったというブログの“灰皿ネタ”がテーマだった。飲食店で他の客から何度も指をさされ、歯を食いしばって我慢するも怒りのあまり灰皿を叩き割ってしまった、という内容で、怪我をした自分の手のひらの写真とともにアップしていたことに質問が集中。そして、『ワイドナショー』ではこのエピソードを「我慢した清原はエラい!」というムードで進行した。苦言を呈したのは泉谷しげるぐらいで、松本人志にいたっては「それをブログに載せるのってなんか文学的な感じ」などと清原を変に持ち上げていた。
ところが、逮捕後の今日、8チャンネルを見てみると扱いは真逆になっていた。『直撃LIVE グッディ!』や『みんなのニュース』は、問題の『ワイドナショー』の映像を大々的に流しながら、その言動がクスリの影響であるかのようなトーンで報じたのだ。
『情報プレゼンターとくダネ!』はもっと露骨で、「ブログからは精神的に不安定だったことがうかがえる」と伝えた。
転んでもただでは起きないといえば、聞こえはいいが、いくらなんでも、これは手のひらを返しすぎだろう。しかも、使われていた『ワイドナショー』映像では、清原以外の出演者は全員、配慮されてモザイクがかけられていた。これが、報道番組のやることなのか。
いや、フジテレビなんて、もはや社員の誰一人として、自分たちの会社が報道機関だとは思っていないだろう。SMAP騒動といい、今回の清原報道といい、テレビというのはようするにただの利権集団にすぎないのだ。そんなものに“知る権利”の代行を期待する我々のほうがバカということなのだろう、きっと。
(田部祥太)
最終更新:2016.02.05 11:43