“レガシー”級の泥沼である(JAPAN SPORT COUNCIL 日本スポーツ振興センター公式サイト新国立競技場ページより)
新国立競技場をめぐるゴタゴタが終わらない。昨年「白紙撤回」された初期案のデザイナー、ザハ・ハディド氏の事務所が、今年1月14日、「JSC(=日本スポーツ振興センター)から著作権を渡すよう要求された」などとする声明を公開したのだ。
ザハ氏は、昨年12月に選定された隈研吾氏設計、大成建設施工の見直し案について、座席の配置などのレイアウトが酷似していると主張していた。だが、ザハ氏側が“パクリ”を主張した当初、日本のネット上などでは「どこが似てんだよ」「そもそもお前のせいだろ」「言いがかり」などとバッシングを受けていた。
ところが、今回のザハ氏側の声明は、事業主体であるJSCが、ザハ氏にデザインの未納代金を全額支払うのと引き換えに、そのデザインの著作権を譲渡するよう要請したことを暴露している。つまり、JSCは、隈氏案の一部が“ザハ案のパクリ”であることを十分に認識していたということだ。
しかも、声明によれば、未払い金についての交渉の中で、JSC側は著作権譲渡のほかに、「新国立競技場について今後コメントしないこと」まで条件としていたという。ようは“口止め料”だが、ザハ氏はこの取引きを拒否。JSCに“パクリ”の具体例をあげて書面で通知し、出方によっては法的措置も検討しているという。こんな談合めいた手段が国内ならいざ知らず国際社会相手に通用すると思っているとは、JSCの前近代的な癒着体質を全世界に露呈したかっこうでお粗末にもほどがある。