〈S社のDVDの仕事のあと、精神的に疲れてしまい、髪の毛もごっそりと抜けてしまったので、「しばらくDVDには出たくない」と事務所に頼んだのだけれど、またDVDの仕事を入れられてしまった。
その内容の打ち合わせの時点から、うすうす、嫌な予感はしていた。
あの会社が出しているイメージDVDはえげつないのが多いから、心配だった。
そう不安を口にすると「過激なのも多いけど、ちゃんとかわいいのもあるから大丈夫」と、社長が言った。確かに普通の水着でのDVDもあるけど、私がそっちに配置されていないことに気づけ。明らかに過激なほうに分類されてるから、そこに気づけ。
L社のEシリーズは、はじめて見たときから「えげつないことやるなぁ」と嫌いだった。やりたくないDVDの最高峰だったから、打ち合わせでも「Eシリーズはちょっと……」と話していた。そんな折、次のDVDの撮影内容がファックスされてきて、「〜小明 Eシリーズ〜」の字が見えたときは、もうガッカリした。
打ち合わせのときからEシリーズと決まっていたのなら、どうして教えてくれなかったの。ファックスには打ち合わせのときにやりたくないと言ったキーワードが目白押しだし、どういうことなの。NGとOKが逆なのよあんた。私、DVDを売りたいんじゃなくって自分を売りたいんだけど、これ出して私は売れんの。
自分が好きな制服とか緊縛をやらせてくれるのは嬉しいけど、全編Tバックとか、売れないどころか余計にこういう仕事ばかりになるよね。手ブラとか、ボンテージ姿や縛られたままでツイスターだとか、バナナを舐めたりしごくとか、ローション塗って全身いじくるとか、乳揉みだとか、尻揉みだとか、指さし棒で全身つつきまくりとか、手ブラで牛乳ぶっかけとか、マッサージ器で全身まさぐられて乳・尻マッサージだとか、前貼りだけとか……。好・き・勝・手・言・い・や・が・っ・て!
もう許してください。どうしてもやりたくありません。
遠くに逃げたい〉
結局、彼女はこのDVDの話を断るのだが、小明本人が正式なOKも出していない段階で事務所とメーカーが話を進めていたため、スタイリストが買った衣装代やスタジオ費用などの違約金が発生。その請求が彼女のもとに来たという。なんともひどい話である。